才覚があるわけでもなかった
お金なんかあるはずもなかった
世話好きだけは 母親譲りだった
頼まれれば 二つ返事で引き受けた
意気に感じて 地域を走り回った
人の良さだけは 父親譲りだった
貧しさの辛さは 身に染みこんでいた
親の情愛の深さは 心に染みこんでいた
他人への温情は 父母譲りだった
困った人が近くにいれば 捨て置けなかった
貧しい人が頼ってきたら 相談にのってあげた
親身になって 話を聴くことしかできなかった
一つだけ誇れるのは 人儲けだった
求められたことに 汗をかいて励んだ
そこは 父母譲りで長けていた
かれこれ8年 民生委員を続けてこられた
善かれというおもいに導かれて 続けられた
他人様(ひとさま)のおかげで 人として育てられた
子どもが健やかに心優しく育つ
障がいのある人も家族も安心して暮らす
オレもすぐに仲間入りする先輩たちが
ここを終の住処に生涯を全うする
世間に役に立つことが まだ残っているようだ
もう一期 民生委員を務めよう
一番喜ぶのは きっと父母かも知れない
〔2021年4月17日書き下ろし。親が子に何を求めていたのだろうか。世のため人のために求められる人になることかと〕