広瀬爽彩さんを悼む

広瀬爽彩さんを悼む

1年前の2月13日 広瀬爽彩(さあや)さんは家を出た
3月公園で凍死していたのを発見される
少女を助けることは誰もできなかった
傍観する共犯者
事なかれの学校
保身に走る教育委員会
1986 年2 月1日 鹿川裕史君は悲痛な遺書を残して自死した
「葬式ごっこ」から36年 昨年だけでも約51万件のいじめがあった
幼い心を痛めつけられた子らを想像すると凍り付く

いじめた子は平然として学校に通う
いじめられた子は不登校を強いられる
学校はひとりより10人の人生を尊ぶ
卑劣な性犯罪を年齢で線引きして非行を握りつぶす
少女の恐怖と恥辱を無視し孤立させ死に至らせる
警察も事件性を軽視し学校に委ねる

去年4月文春砲ですっぱ抜かれるまで沈黙を守る
世間が騒いで6月第三者調査委員会を設置する
当事者への聞き取りも全く進まず遅延する
12月ツイッター上で非難中傷した男が特定された
1月いじめられていたという少女のツイッターが確認された
2月道教委の指導を軽視した市教委の実態が明らかにされた
3月の報告書はいじめの実態をどこまで究明できるか

市教委は道教委の指導を二度も軽視し少女を見殺した
教育の世界でおぞましい大人たちが少女を死に追いやった
学校も教育委員会も個人が責任を負うことはない
当事者の少年たちも裁かれることはないだろう

世間が注目する事件にどんな落とし前をつけるのか
記者会見で調査委員会が報告し教育委員会が頭を10秒下げる
この事件を機に今後いじめ問題に真摯に対応しますとケジメる
相談窓口の充実やスクールカウンセラーの配置でお茶を濁す
そもそも市教委は直接指導した学校の教員ではない
監督部署としての責任の取り方をするしかない
学校関係者は人事異動でチャラになる
退職した者にはお咎めはないだろう
当事者の少年たちからの謝罪は難しいだろう
爽彩さんの自死が曝いたのは大人の不作為と保身に走る姿
その醜い構造が明らかにされるだけになるのか

少女を悼む心が
悩み苦しむ子らを助ける力となることを祈る日となった
広瀬爽彩さんのご冥福を共に祈りましょう

〔2022年2月13日書き下ろし。納得する委員会の報告とその後の市教委や学校の対応に注視したい。2021年1月23日にUpした『銀の涙は舞う』で自死した子どもへの鎮魂歌を捧げた〕

付記
旭川中2女子死亡 「いじめを受けていました」ツイッターで自ら投稿
北海道旭川市で2021年3月、市立中学校2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会が過去のいじめの有無などを調べている問題で、広瀬さんがツイッターでいじめの詳細やつらさを発信していたことが分かった。匿名での投稿だが、遺族側が本人のものと確認した。
遺族側によると、広瀬さんは19年、中1の1学期にいじめを受けていたという。その後、別の学校に転校したが、不登校になっていた。
ツイッターの投稿は、その翌年の20年5月21日で、1時間弱の間に十数本を投稿していたという。「私は前の学校でいじめを受けていました」と始まり、中学校に入り「先輩たちと仲良くしようと私は頑張りました」「いつの間にか、コンビニに行く時は私が全部払う」ようになったと訴えていた。さらに、性的な画像や動画を求められるようになったと、つらい心情もつづっていた。
転校後についても、「新しい学校に慣れようとしました。でも無理でした」「同世代がとても怖かった。私はいつの間にか不登校になっていました」と説明。「いじめを受けたのは3カ月ほどなのに、もういじめを受けてから1年たちそうなのに私は何もできません。何もかもが怖くてたまりません」と、伝えていた。
ツイートは現在、非公開となっているが、広瀬さんの知人が保存し、遺族側に伝えたという。遺族側も投稿が本人のアカウントであることや事実関係から、本人のツイートと認めた。
広瀬さんの母親はこのツイートについて「友だちやまわりの皆さんに、なぜ学校に行けないのか理解して欲しいという願いを込め、いじめを受けたときの辛い気持ちを書き込んだのだと思います。どんないじめを受け、どれほど深く傷つき、悩み苦しんでいたのか。このツイッターには、そのときの思いが残されたままです」とコメントしている。
広瀬さんを巡っては、学校や市教委は当初、本人がいじめを訴えていなかったなどとして「いじめの認知には至らなかった」としていた。しかし、21年4月に「いじめ」として報じられると、第三者委員会での調査が始まった。同委員会が関係者への聞き取りなどを進めており、市教委によると、3月末までにいじめの有無について遺族側へ報告する方向で動いているという。(朝日新聞2022年2月1日)