村上 のすべての投稿

特別な人

人は 他人(ひと)と違う
そうだよ だから〈わたし〉なんだ

人は 他人と違いたい
そうだね だから〈わたし〉がわかる

人は 他人と比べたい
そうそう だから〈わたし〉と同じで違う

人は 他人の目を気にする
そうだね でも〈わたし〉はそうでもない

人は 他人より少しでもいいおもいをしたい
そうなの でも〈わたし〉は欲ばらない

人は 他人からうらやましいと思われたい
そうなの でも〈わたし〉にはどうでもいい

人は 他人よりも少しでもよくありたい
そうかな それって〈わたし〉だけのことだよね

人は 自分が特別だって思いたい
そうだね みんなも〈わたし〉も特別なんだ
えっ ちがうの!
だって 奇跡の命を生きてるんでしょ?

人は 自分が特別な人でありたい
そうそう 大事な人には〈わたし〉もそうありたい
えっ ちがうの! 
特別な人って どんな人?

人は 自分を特別に扱ってもらいたい
そうか そっちのほうなら〈わたし〉は無理
なんか エゴ丸出しって感じで気色が悪い

人って 特別な存在だよね
でも 特別の意味を取り違えたら 
なんだか つまんない人になっちゃいそう

だからさ 比べたり特別になることもなく
〈わたし〉って人間を 精一杯生きたいな
自分らしくありたいってことかな
誰かさんに〈ありがとう〉って
それだけで 仕合わせな気分になれそう
それだけで いいかなって
えっ これって特別なことなの!?

〔2021年4月12日書き下ろし。当たり前にあった人や世の中に関わることが特別になっている。変な気構えを要求することへの小さな疑問〕

狂気の狩りをする者たち

男たちの手に 自動小銃が握られていた
安全装置は 外され無用となった
狩りが始まった
逃げ惑う無抵抗な者たちに 銃弾が撃ち込まれる
無垢な子らも 情け容赦しなかった
まだ生きている身を 炎に投げ捨て焼く
反抗するものなら 際限なく暴力の限りを尽くす
殺人ゲームの世界が 現実だった

男たちには 思想もへったくれもなかった
ただ人殺しを 享楽した
男たちには 罪過など感じることはなかった
ただ人殺しに 没頭した
男たちは 躊躇することは全くなかった
ただ人殺しが 正義だった
男たちは 上官の命令が全てだった
ただ人殺しだけが 為すべきことだった
男たちは 従順な野獣になった
殺人鬼と化し 狂気を満たした

軍人は 狂気の世界に乱舞する
同朋への殺戮を 無批判に引き受ける
私欲にまみれた者に 絶対服従する
誰の軍隊であるか否かは 問わない
上司の命令一下 敵を殺す
鬼の形相で 阿鼻叫喚の地獄絵巻を描く

国家ではない 
国民の意思では決してない
国軍に身をなりすました悪魔である
身の毛もよだつ破壊と殺戮の集団である

この風景は 80年前の日本にもあった
ミャンマーの民のように 戦わなかった
反戦思想を 弾圧し拷問し獄死させたのは 誰だったのか
非国民と蔑み憎み 監視し 密告し 敵対した
悪しき歴史が 甦ってくる

ミャンマーの民は 命をかけて戦う
戦わぬ者も 戦えぬ者も 戦場の人となる
家から引き出され 無差別に殺される
いまも無抵抗のまま撃たれて 殺されてゆく民衆
民主主義を狂気で黒く塗りつぶす 軍政の暴徒たち
銃火が鳴り響いたその後に 幾多の屍が転がる
生き地獄の惨状を 平然と世界に知らしめる

世界は またも傍観する
精彩を欠くセオリー通りの制裁は 体裁を繕うだけのこと
経済援助してきた他国も 批難声明出すだけのこと
国連も 専制国家の中国とロシアの思惑で 機能不全を起こす
いつもの安保理の無能さを 世界に示しただけのこと
日本の日和見的な外交には 期待はもてない 
なすべき事が全く見えない不甲斐なさに 不信を募らす

男たちが 裁かれる日はきっとくる
その時まで 殺戮を繰り返す
男たちに 約束された未来はない
その時こそ クーデターの終焉となる
男たちは 殺人罪で極刑が下るだろう
その時には 惨めに命乞いをする

銃を手にした 男たちの狂気を越えて
ミャンマーの民主主義復活のその時まで
平和への不撓不屈の戦いに挑む民衆に 
打ちのめされ…ただただ胸を締め付けられている
安全地帯で…情けない己を見つめるだけだった
どうかご無事で…祈るしかないのだ

〔2021年4月11日書き下ろし。ミャンマーの軍事勢力の非人道的な暴挙を国際社会が制御できないところに理不尽さを見る。このような事態に何もできない己に一番憤っている〕 

付記
ミャンマー民主派「国軍に圧力継続を」 安保理に訴え
国連の安全保障理事会は9日、国軍によるデモ弾圧で悪化するミャンマー情勢について非公式会合をオンライン形式で開いた。ミャンマーの民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏を支持する「連邦議会代表委員会(CRPH)」が任命したジン・マー・アウン外相代行が出席した。武器禁輸や制裁を含む圧力を国軍にかけ続けるよう安保理に求めた。
会合は英国が呼びかけ、米仏などが共催した。アウン氏は会合で、安保理は国際社会の平和と安全を維持する義務を果たすべきだとし、「国軍に直接的、そして間接的に圧力をかける具体的な行動を今すぐ取ってほしい」と呼びかけた。「ミャンマー市民はどんな犠牲を払ってでも権利と自由を取り返す心構えができている」と訴えた。
ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使は、国際社会に国軍への武器禁輸のほか、軍当局者と軍系企業への制裁、銀行口座の凍結、民政復帰までの直接投資の停止を求め、「安保理には直ちに最も強硬な行動を取ってほしい」と強調した。
欧米諸国は同調した。米国のトーマス・グリーンフィールド国連大使は「具体的な行動が必要だ」と発言した。エストニアのユルゲンソン国連大使は「包括的な武器禁輸を含む制裁の可能性に言及する決議を準備すべきだ」と述べた。
国際社会からもより強硬な措置を求める声が上がっている。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」のシャルボノー理事長は会合に先立って「安保理は武器禁輸や軍の指導者や企業を対象とする制裁など、国軍に影響を与える措置を協議すべきだ」と指摘した。一方、ロシアの代表は「さらなる暴力行為を扇動するだけだ」と指摘し、安保理による対応に反対する立場を示した。安保理は2月1日のクーデターが起きてから3回会合を開催しているが、一致した対応は非難声明の発表にとどまっている。
国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)は9日、ミャンマー情勢について協議するための東南アジア諸国への訪問を今週から始め、最初の訪問地となるタイのバンコクに到着した。同氏はツイッターの投稿で、要請していたミャンマー訪問は軍政に拒否されたと明らかにした。(日経2021年4月10日)

場当たり的な人生

世の中は 目論見外れて青息吐息
欲かくと 地獄の淵まで落とされる
かいた欲の分だけ 地獄のお沙汰が待っている
その前に 世間の冷たい仕打ちで 寿命を縮める

運も不運も 人生双六
右へ左へ 風吹くままに
よかれ節でも 口ずさみ
極楽とんぼと 洒落てみたい
 
世の中は 他人などどうでもいい
廃(すた)れた人情 あてにはできぬ
食いっぱぐれのないように 這いつくばる
おのれのことで精一杯 その場をしのぐ

運も不運も 人生双六
上へ下へ 行ったり来たり 
与太話でも こきながら
勝ち馬に ゴマでもすってみようかと

世の中は 狡(こす)いやつらが立ち回る
人並み外れた騙(だま)しに 恐れ入る
海千山千相手に 太刀打ちできぬ
爪の垢でももらって その場をしのぐか

運も不運も人生双六
明も暗も 紙一重
つまずくたびに 起き上がる
場当たり的な人生は まだまだ続く

運も不運も人生双六
前に進まず 休むか後戻りの繰り返し
賽(さい)の目は 思うにならぬ
場当たり的で 面白おかしな人生か

運も不運も人生双六
それでもこうして賽を振る
他人には預けられぬ おのれの命 
場当たり的でも おのれでいたい

〔2021年4月10日書き下ろし。この国の賽の目は後戻りばかり。場当たり的な権力者との同伴は拒みたい〕

心のかさぶた

人は 時に感情の激流に放り込まれる
激しく衝突し 仲違いする
我慢できずに 声高に罵倒しあう
互いを許せず 心が遠のいてゆく

傷つけあった心が 痛かった
憤怒の塊が 消えず残っている
時の流れに 身を置いても
心にかさぶたは なかなかできなかった

傷ついた心は 病んだままだった
罪過の塊が 取って代わってゆく
時の流れに 身を任せることで
心にかさぶたが ようやく塊を包んでゆく

人は いつも心のバランスを欲した
かさぶたが生まれる様を 見まもる
傷口が塞がれてゆく様を 見つめる
癒やされてゆく心の様を 見続ける
ダメージからの再生への クールダウン

心のかさぶたは 他人との諍(いさか)いから生まれる
もどかしい気持ちを 素直に受け入れる
至らない未熟な気持ちを 優しく包み込む
悔悟から生まれる治癒力が 痛みを和らげる
心の再生は かさぶたができてから始まる

心のかさぶたは 心が再生されると剥がされてゆく
和解という薬は 穏やかに効いてくる
憎悪という牙が 緩やかに消えてゆく
批判という棘が 静かに抜かれてゆく
不信という澱(おり)が 徐々に流されてゆく

〔2021年4月9日書き下ろし。心のかさぶたをどれだけ剥がしてきたことだろう。傷ついても治癒されて、また歩き出す。かさぶたはあなどれない〕

涙もろくなる

「年をとって困ることは、つい自分のいまの気持ちに溺れること。
自分の戒(いまし)めが、弛(ゆる)みがちになる」(伊藤整)

本を読んでも
映画を見ても
ドラマを見ても
話を聴いても
涙がこぼれてくる

老いるとそうだと云われた
みんなそうなると云われた
鬼の涙とも云われた
照れくさくて 鼻をかんだ

感情の抑制が 難しくなった
感情のままになすことが 許された
感情が 思考を制していく

構えることなく 素直な心が表れた
我慢することなく 涙で心が洗われた
恥ずかしさを捨て 涙は心をピュアにした

涙で溺れる 心を支配する
虚無な世界を 否定する
情愛の世界を 肯定する
戒めを弛ます 弱き人間の罪過への後悔(く)い
人間だけの エロスとアガペーの世界への誘惑(いざな)い

涙もろさは 情感の深さのバロメーター
同じおもいのあることを 理解しあう
苦しみ悩み生きることを 分かちあう
悲しみと喜び暮らすことを 支えあう

涙もろさは 意思の強さのバロメーター
理解し合うことで 共感する
分かちあうことで 共生する
支え合うことで 共働する

涙は 人によってもたらされてこそ
心揺さぶられ 生きている実感を味わう
心動かされ 生きていく力を与えられる
心働かされ 世を変える力にシフトする

世を変える 涙の力
屈辱・恥辱・侮辱 そして差別への諍(あらが)い
世を変えなければならない 涙の力
社会変革・意識改革・制度改変 そして人命尊重

〔2021年4月7日書き下ろし。涙のわけを知ることで、情感だけでは済まされない強い力の変わることを…願う〕

為すべき事がある

未練かも知れない
蒼穹に残した白雲のような
やり残した事への 憧憬(あこが)れか

未練かも知れない
曇天に流れる黒雲のような
やり損なった事への 後悔(く)いか

未練がましく すがりつく
急な岩斜面にとりつくような
全身がこわばる事の 必死さか

未練がましく 訴える
呂律(ろれつ)の回らぬ言葉のように
伝えきれない事の 苦悶(くる)しみか

未練たらしく 無常迅速に抗う
他人に陰口を 叩かれようと 
まだ為すべき事は きっとある

未練たらしく 無窮自在に動く
老いてこそ 見えてくる光が
まだ為すべき事を 指し示す 

世に 未練はきっと残る
人に 未練はきっと残す
だから 終わりのない未練に生きる

生への執着だと 知りながら
まだ為すべき事があると
ひたすら 前を向く

※無窮自在(むきゅうじざい):思いのままに振る舞う・こと(さま)。

〔2021年4月7日書き下ろし。ふと生に未練が湧いた。まだ為すべき事があるという思いが生きることに執着させる〕

欺瞞に宿る醜さ

心の醜さを 認めたくなかった
誠意を見せることに 苦心した
誠実を装うことに 執着した
言葉を飾ることに 修練した
いい人であることは 欺瞞だった

欺瞞に宿る醜さは 臆病さからだった
知恵のなさを 見透かれそうだった
だから 強がって虚勢をはった
欲の深さを 感づかれそうだった
だから ない素振りでスルーした

欺瞞が 心を満たしていった
正直になることは 不安だった
騙されることは 恥ずかしかった
馬鹿にされることは 許せなかった
弱い自分をさらけ出すのは 怖かった
いい人という鎧(よろい)を 身にまとった

欺瞞は 次第に露わになった
悪意を表すことを 黙認した
誠実さを演じることに 疲れてきた
失敗を論(あげつら)うことを 良しとした
信頼を裏切ることに 迷いはなかった

その浅ましさは すでに見抜かれていた
偽善者の仮面は 剥がされていた
上手にあしらわれていただけのことだった
騙されていたのは おのれ一人だった

有能だとかけた 自己暗示からの覚醒
我欲だけの 歪んだ動機の放棄
暴かれた 醜態からの自己嫌悪
欺瞞に宿る 罪悪感からの慚愧(ざんき)
素っ裸で立つ おのれの姿に驚愕する

いまも 自己否定できぬ者たちは
期満に満ちた世界に 惨めに彷徨(さまよ)う

〔2021年4月6日書き下ろし。どこの世界にも貪欲な者たちがいる。心を置き忘れて、自己崩壊するらしい〕

米穀通帳と新しい生活

家族と別れ 住み暮らした家を出る
きっともう二度と 暮らすことはない

身の回りの荷物を 車に積んで出る
独身向きのワンルームの ドアを開ける
冷蔵庫 チン ストーブ完備
ガスは 連絡がつかず諦めた
荷物をほどいて 整理を始めた
寒くて 急に空腹を覚えた
独り立ちの一日は あっけなく過ぎる

50年以上前 米穀通帳を持って家を出た
これが 世帯主になった証だった
親からの経済的な独立には ほど遠かったが
なにかしら 大人になったような気分がした
いまの若者が 独り立ちをした自覚は
アパートの鍵を握って ドアを開けた瞬間か

今春 若者たちが家を出た
家族の干渉から 自由になった
家族の保護から 解放された
家計をやりくりする 才覚が試される
家事をこなすのが 心配だった
ただ思うがままに 決められることが嬉しかった

学生ではない者たちは
コロナ禍の厳しい労働環境の中で
安い賃金に甘んじながら 自活を始める
親の臑をかじることを よしとせず
自分の稼ぎで暮らそうと 決めた

自立の先ある自律こそ 本当の独立
不安の先にある目的こそ 本来の志向
食べることの先にある未来こそ 本命の夢 

※米穀通帳(べいこくつうちょう):1939年4月「米穀配給統制法」が公布され、米穀を扱う商いは許可制となり、第二次大戦中から戦後にかけて,政府が米穀統制のために各世帯に配った通帳。1969年自主流通制度が発足し、やがて米穀通帳制度は形骸化していく。

〔2021年4月5日書き下ろし。いまの若いもんも悩みながら大人の道に踏み出す。ガンバレ!ファイト!〕

お見通し

むかしのことだった
おらとこの庄屋さんは えらいお方じゃった
米がとれん年には 春に種籾(たねもみ)を配られた
亭主を亡くした家には 子どもが大きくなるまで世話も焼かれた
疫病が流行ったときには 広がらぬよう手を打ちなさった
寺の和尚には 村の子みんな手習いさせよとお願いなさった
村は貧しかったが みんないい顔して暮らしておった

庄屋さんにばかり甘えてはならんと 
村のことはみんなで手分けして それはそれは よう働いた
大水が出た年には 山が崩れてずいぶん人も亡くなり
村の外れに供養仏さつくって 忘れてはならんといいなさった
村人総出で道普請をして いまの道に付け替えたもんさ

そんでも 世の中が少しずつ変わっていってな
村の若いもんも 他所(よそ)さ出てしもうた
だんだん人の数も すくのうなってしもうても
子の代になった庄屋さんも よくしなさった
子が生まれれば お祝いまでくだされた
若い男衆には 嫁御の世話もずいぶん焼いておられた
だから人の数は 他の村よりは多かったもんさ
暮らし向きが 少し楽になったのも 庄屋さんのおかげ
村の山にな 春は春の秋には秋の山菜さ採ってな
ばさまたちが それを漬け込んで
じさまたちが まちさ売りに行って 新しい稼ぎにしたもんさ

みんなが寄り添うように 心置きなく暮らせるだけでも
ありがたいことじゃった
神仏の信仰も深くてな お寺さんの説教も心さ響いたもんさ
ここに生まれたことに感謝しなさいって 教えられたもんだ
誰かのためにやることが 自分が生かされるんだってさ
この年になれば そのことばがなんか心にしみてな
おらもちゃんとやってきたべかと 気にかかってきたもんさ

人の一生なんぞ あっという間の短いもんさ
泣いたり笑ったり してきたけんども
一つだけ分かったんは この村で暮らしてよかった
開けっぴろげで 正直に生きてこられてよかった
家のもんもみんな心穏やかに いい顔して暮らせてよかった
これもこんな村や村の人を育ててくれた 庄屋さんの仁徳のおかげ
いまようやく 思いやりの深さと心の広さ 
先を見通して事を為す人だって よくよくわかったもんさ
おらも老いて 床さ伏しているけんど
旅立つ心の始末は みんな終わった
後はお迎えが来るまで 待つとすべえ

〔2021年4月4日書き下ろし。政治とは何か。先先を見通して具体的な対策をすることでしかない〕 

こころにトゲ

こころがささくれてくる 気持ち悪さは
いったいどこから 生まれてきたのだろうか

こころのやりどころを失った 気持ち悪さは
いったいどこに 行こうとしているのだろうか

こころにわだかまりを残す 気持ち悪さは
いったいどこまで 続いていくのだろうか

こころにトゲは刺さったままで
痛みは ただ増してゆくだけ
こころのトゲを抜こうとしても
意のままにならず 不快なだけ
こころにトゲがある限り
気持ち悪さは つのるだけ

小事ばかりで政治ビジョンなき指導者 
国民に丁寧な説明を拒む指導者
マスコミに忖度求める非力な指導者
党内に基盤の持たない脆弱な指導者
難局に決断をびびる指導者
支持率急降下に慌てふためく指導者
150日の通常国会に真価が問われる指導者

こころのトゲの正体は 小心者の失政
こころのトゲの伝播は 小心者の限界
こころのトゲの解消は 小心者の退陣

ただ 次のトゲがご丁寧に用意されてくる
拒むことの出来ない 身震いする気持ち悪さは
やむことなく続き いつの日か恐怖心に変わる

〔2020年12月15日書き下ろし。遅すぎたGOTOトラベル全面停止。思惑は崩れ、自らの支持基盤にも亀裂が入る。政権運営を危うくし、多くの犠牲をまたも強いる〕

付記
コロナ・GoToで逆風=党重視、調整役不在―菅政権3カ月
菅義偉首相は16日、就任から3カ月を迎えた。発足当初の内閣支持率は6~7割台と順調な滑り出しだったが、新型コロナウイルスの感染再拡大を止められず、看板政策「GoToトラベル」は年末年始の一時停止に追い込まれた。「政治とカネ」の問題も相まって内閣支持率は急落。官僚ににらみを利かせる政治手法の副作用も指摘されている。
「日々の感染者が3千人を超える中、年末年始に集中的な対策を取るべきだと考え、いったん停止を決断した。これ以上の感染を食い止めることに全力を挙げたい」。首相は15日の自民党役員会で、トラベル停止の判断に党側の理解を求めた。
派閥に属さず党内基盤が弱い首相の後ろ盾となっているのは二階派だ。14日のトラベル停止決定も事前に二階俊博幹事長には伝えた。安倍政権が全国一斉の休校要請などのコロナ対応で与党への十分な説明がなかったことを教訓にしているのは明らかだ。
トラベル停止について、首相は11日のインターネット番組で「まだ考えていない」と否定した。ただ、首相周辺によると、年末年始に限って止める選択肢は、東京都での感染者が初めて6百人に迫りつつあった9日ごろから内々に検討していたという。
首相の方針転換に自民党幹部は14日夜、強い不満を漏らしつつも渋々容認した。別の幹部は「観光・運輸業界に影響力がある二階氏が了解を出したのだろう。二階氏はGoToを絶対に止めるなと言っていたのだが」と解説した。安倍政権時代の「官邸1強」から「党高政低」への力学変化が浮き彫りとなっている。
ただ、書き入れ時となる年末年始の停止によって、宿泊業者や飲食店に一層の打撃となりそうだ。今回の対応で感染を抑制できるかも見通せない。政府関係者は「トラベル停止で支持率は戻らない。全国停止の効果がなければ、また批判が出る」と危惧する。
人事権を武器に官僚を掌握しているとされる首相の政治手法の限界を指摘する向きもある。同党中堅は「首相に物を言える官僚が周囲にいない。首相の方針を否定するようなことを言えば更迭されると思うから何も言えない。腹心もいない」と語る。本来調整役となるべき官房長官が「機能していない」との声も多く、先の高齢者医療費負担の問題が長期化したことが如実にそれを示した。
政権運営の不安材料はほかにもある。鶏卵業者から金銭を受け取った疑いがある吉川貴盛元農林水産相と西川公也前内閣官房参与(元農水相)は首相に近い。捜査の行方次第で政権への打撃は避けられず、次期衆院選へ党のイメージダウンになり得る。安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の疑惑再燃も含め、野党の攻勢にさらされそうだ。(共同通信2020年12月16日)