「福祉教育」実践・研究への“熱い思い”

筆者(阪野)の教え子のひとりである T 先生から、「福祉のまちづくり条例にみる『福祉教育』条文(Ⅰ)(Ⅱ)」(2013年11月7日投稿)の拙文に対し、以下のようなメールをいただきました。

「福祉のまちづくり条例にみる『福祉教育』条文Ⅰ・Ⅱ」を拝読させていただきました。相変わらず “阪野先生節” 健在で、読者に対する警鐘は当方も痛感するところです。
行政や社協が好んで使う「協働」は、聞こえのよい言葉ですが、「上から」の、「協働」の強制にならないよう、慎重を期することが大切ですね。
教育委員会の廃止や道徳の教科化、最近の特定秘密保護法案などに関しても、多くの市民がもっと関心を持ち、大きな声をあげなければなりません。そのためには、市民の、市民による、市民のための「草の根」の教育・学習の機会や場が必要になります。そのひとつに先生がおっしゃる「市民福祉教育」があるのではないでしょうか。真実かつ公正で、欠落のない情報が適切に開示・提供されることが強く求められます。一方で、市民にはそうした情報を収集し、整理し、分析する「力」をつける必要があります。その「力」の育成が市民福祉教育に期待されるのではないでしょうか。
福祉教育の世界は、最近、戦略(strategy)なき戦術(tactics)に走り、対症療法的な精神主義や教育技術主義に陥っているようでもあります。現状を無自覚的・無批判的に受け入れ、体制に迎合し、あるいは取り込まれている論稿が気になります。また、データ主義のもとで解析技法に重点が置かれ、真にめざすべき福祉教育や共生社会への探究が希薄な学会発表にも出合います。
客観性・論理性・実証性に十二分に留意しながら、福祉教育やその実践と研究に “熱い思い” を込めて精進したいと思っています。