人は人によって 傷つく
ちょっとした 言葉のあやでも
簡単に 傷つく
傷つきやすいのでは ない
人は 誰でも 傷つくのだ
傷つかないように 傷つけないように
絶えず 相手との距離をはかって 暮らす
小さなほころびは すぐに広がり 傷となる
だから ほころぶと
すぐ繕(つくろ)わなければ 仕合わせは 続かない
気配り 心配り 目配り
その気配を察して 未然にほころびを防ぐ
なんという 気苦労か
なんという 徒労の連続か
それが 世間に生きると いうことなのか
疲れ果て うとましく感じたそのとき はたと気づく
わたしもまた 鬱陶(うっとう)しく 煩(わずら)わしいという
世間の しがらみの中で
こころある人の
気配り 心配り 目配り によって
生かされていることを
逃げ出すことのできない 時空間に囚(とら)われた時代を
生きるしかないのなら
せめて こころのほころびを
慰藉(いしゃ)の手を持つ
あなたと
繕いながら 生きてみたい
※慰藉(いしゃ): 悩み、苦しみ、不安などを慰めいたわること。
〔2018年10月17日。秋田県仙北市地域包括ケアシステム推進事業で披露〕