村の保健師さん

「心配してたよ。心臓の加減はどう?」
「だいぶようなった。家で少しおとなしくしているわ」
「それがいいね。だんなさんも心配してたわ」
「家が一番落ち着くね。入院はこりごり」
「そうだね。また血圧上がらないようにしないと」
「あんたがいるから、ありがたいよ」
「時々来て、悪さしてないか、チェックするからね」

「また無理したって。腰は大丈夫?」
「腰痛は持病みたいなもん。膏薬(こうやく)はって寝てりゃすぐ治るさ」
「ご飯はどうしてる?」
「隣に面倒みてもらっているよ。こんなときほどありがたい」
「ほんと。助かるわ。奥さんが世話焼きさんだったから」
「うちのやつも、あの世で喜んでいるよ」
「なんもさ。年甲斐(としがい)もなく無理してって、心配してるよ。痛みが引かないようなら、一度病院さ行って診てもらわないと」
「もう少し、様子みるさ」
「お隣にも声かけておくから、まずはお大事に」

「なに心配してるの。言葉が遅いって」
「なんだか、まわりの子と比べたら、心配で」
「子どもと、たくさんおしゃべりしてる」
「仕事と家事と育児で、もうてんやわんや」
「忙しいのはわかるけど、テレビにお守りさせてない」
「テレビはあんまり。でもこの子スマホに興味があるみたいで、ひとりで遊んでるの」
「すごいね! って、褒(ほ)めると思う。残念!」
「えっ。どうして?」
「いまの若い子は、スマホで子守させるけど、でもそれじゃ無理。たくさん生きた言葉をかけること。いまおしゃべりできなくても、脳が活性化して言葉をバリバリ吸収していくの。
スマホやテレビで代用できないのは、お母さんの“生の声と反応”。
脳と心に刺激を与えていくのは、お母さん、あなたのやさしい声や言葉のシャワー。たくさん浴びせることと、そしてハグ。このままじゃ、あなたの心配が顔と声に出て、子どもが不安になるわよ」
「そうなの。パパにも、たくさんおしゃべりさせなきゃね」
「子育ては、まわりの子と比べたがるけど、もっと楽しみなさい。親になれば心配事も増えるけど、泣いて笑って、また笑って。あなたと子どもの“あったかい物語”を、たくさんつくってください」

村の保健師さん、
みんなの“こころとからだ”のケア・アドバイザー。
家族の“しあわせづくり”の仕掛け人。
あなたの笑顔と明るくポジティブな仕事ぶりが、みんなの元気と安心の拠り所。
頼りになります、頼りにしてます。

だから、「医者の不養生(ふようじょう」」にはならぬよう、あなたの健康が一番。
くれぐれも、“からだ”をいたわって、なが~く、おつきあいくださいって、
保健師さん、
みんなの声、聞こえていますか?

〔2018年11月14日。秋田県北秋田市・美郷町各保健センター保健師さんへのメッセージ〕