認知症の母親を 抱えて
日々 介助に明け暮れている 女性を訪ねた
よく来てくれたと 歓待された
家に帰ってきて 自責の念にかられた
目を離せない老人を抱えて
女性は 家の中での生活を余儀なくされていた
もっと早くに 訪ねるべきだった
自分に もう少し相手をいたわる気持ちがあれば
一時(いっとき)私がその老人を見ている合間に
買い物でも してきてもらえばよかったと
反省しきりだった
その話を 女性にすると
心遣いに 感謝をされた
でも 外に出ることよりも
あなたが来てくれたことが 嬉しかったという
小さな町の中で こんなふうに人が結びついていて
それぞれの抱えている悩みが 共有されていくところに
その地域での 助け合いの質を高めていく 道筋を見た
「わたしにもできることって こんなところにあったんですね」
初老の女性は 初めてボランティアの意味に気がついた
〔2019年9月20日書き下ろし。道北の小さな町でボランティア講演をし終わった後の会話。他人に関心をもつこととそこで何が出来るのかは、相手との関わりの中で見えてくる。ごく当たり前に認知症の方が家族と地域で暮らすためにできること〕