校長室の風景(その1) 「待合室」

総合的学習の時間で 福祉を取り上げる学校も多い
内容や質的な問題は さておく しかない
教員は 福祉に関心がなくても やらされる
指導力は もちろんない者も確かにいる
だから 毎年その学年がしてきたことを 手っ取り早く繰り返す

そこで 社協に協力を依頼する
躊躇(ちゅうちょ)でもすれば 子どもへの学習支援を拒むのかとばかりに 威圧的な学校
社協からの依頼には 断りの言い訳を てんこ盛りする学校
でも社協は 学校からの依頼に 二つ返事で対応する
だって 大事なまちの子どもたち
そして 福祉を学ぶ機会を 決して逃してはならない使命感
だから 学校と喧嘩することは できるだけ避けていい人ぶる
仕方ないっしょ 人質論

ある町の 小学三年生の福祉の学習 
耳の不自由な人との交流学習を 学校から依頼された
その町には 障がい当事者が住んでおらず
隣町の社協に 今回もまた依頼した
隣町の社協担当者と障がい者 そして通訳ボランティア 
地元の社協担当者の4人で 当日学校を訪れた
授業まで30分ほど早く着いたので 校長室に通された
校長は 挨拶もそこそこに パソコンに向かった
応接セットのソファーに座る4人は 落ち着かない
校長室は ただの「待合室」となった
授業を終えた教員が迎えに来て 早々に退散した

招かれたゲストは 隣町から1時間余をかけて来たのです
ゲストに示した 校長のこの非礼 許せますか?
尊大な態度にしか 見えません
ゲストは 開いた口が ふさがらなかったでしょう
地元の社協は 恥ずかしくていたたまれなかったでしょう

ゲストが 訪問するのは 事前に承知のこと
ゲストが 校長室で待機するのも 了解済み 
ゲストへのねぎらいのことばもなく そそくさと 自分のデスクに座った
果たして どんな仕事をしていたのか 
善意に解釈して 緊急性のある仕事をしていたとしよう
ゲストの応対に 30分ほどの時間を割くことが できないほどの事態だったのか
ありえない そう断言しよう!
ゲストに対応することが 面倒くさかっただけだ これも断言しよう!
障がいのある人との関わりを 回避したいだけ これは深刻な問題だと 断言する! 
外部からの学習支援者への 感謝の気持ちなど ない これも断言できる!
利害関係のある者には こんな態度は決してしない これは断定できる!
非常識この上ない態度を 露呈したことすら自覚できず
ぶざまな失態を さらした瞬間だった
手持ちぶさたで 4人で会話することも はばかれる待合室
存在を無視した校長に ただただあきれるばかり
子どもと福祉の学習を深めようと 汗かく人たちの思いを 
平然とつぶしていく校長に
教育者以前の 人間としての資質を疑うのは 非礼であるか

ひとつわかったこと
この人が 校長の椅子に座っているという事実
もうひとつわかったこと
地域は 異動まで忍耐を強いられるという事実

〔2019年9月29日書き下ろし。福祉教育が根ざさない原因。校長という社会的立場を認識することもなく、非常識な態度を平然ととることへの警句〕