教師は 癇に障ると 生徒指導と称して
意地くそ悪い顔をして にらみつけた
少年には 悲しい顔に見えた
空威張りをしている 威嚇(いかく)の顔が
あまりにも 醜(みにく)かった
だから 哀れみが憤りを抑え 反骨心を鍛えた

こびへつらって 生きていくことの
大人の辛さが 醜い顔になっていた
少年には 腹立ち紛れの汚い言葉も
惨めぽくって 余計にしんどかった
教師もまた 学校という世間に 生きていた

物わかりのよい子が 一番の喜びだった
顔色をうかがいながら いい子を演じた
物わかりが悪い子は 一番の悩みだった
勉強もせず 適度に逆らい あしらった 
物わかりのいい子は 卒業した後 
仮面を外して いい子をやめた
物わかりの悪い子は 卒業した後 
思うとおりに生きたいと 歩き出した

中学校という世間を
世渡り上手に 立ち回ってきた子は
どんな生き方をするのかを 先送りした
世渡りベタの 鈍くさい子は
監視と罵倒から解放され 夢を追いかける 

〔2019年11月2日書き下ろし。中卒で頑張る子らへ。学力で優劣をつけ、無体な人間評価する学校よりも、生きた知力を社会でしっかりと学びながら夢を追いかけてください。社会は、その子が育つ力を是非貸してください〕