夢を見ました
あなたの夢です
手には届かない あなた
だから 夢で会うのです
あなたの笑う顔が 見たくって
私は いつも夢で会うのです
あなたのために 私は眠る
あなたに逢いたくて 私は眠るのです
私の夢は いつまで夢なのか
いつわりの愛に 目覚めたい
夢を抜け出して あなたの心に灯を ともしてみたいのです
あなたの夢を 今夜も見ましょう
そして 話しましょう 夢はいやだと
あなたの手の中に
あなたの心の片隅に
あなたの脳裏に私は住みたい
愛を知ったから
《「夢を抜けだして」昭和44年7月22日18歳》
白紙のままで 終わりたくない
このまま歩いてゆけば あなたとは平行線
交わることもなく 微笑むこともなく
差しのべてくれない 手の冷たさ
これが 恋なのか
恋は 私に苦しみを与えて 終わるのでしょうか
それは 恋とは呼べない
あなたに尽くし あなたに燃えて あなたの心の中で育つ
恋に恥じない 恋をしたい
白紙のままで 終わるなら
恋とは呼べない
恋とは呼べない
《「恋とは呼べない」昭和44年8月26日18歳》
叶えられることのない 恋ゆえに
この味を ただひとり噛みしめた
追いつくことも 追い抜くこともできない
《「片恋」昭和43年9月15日17歳》
妹よ
感傷的な世界に浸る あなたを知りました
片恋であり 失恋であり
告白前の夢恋を 知りました
憧れの恋を 知りました
妹よ
恋に 逃避した
恋に恋していたのは あなただった
それが 夢想の世界なのか 現実なのか
決して 答えてはくれない
妹よ
恋に苦しみながらも
青春を駆け抜けたという
その真実をさらけ出した 詩との出会いに
痛みを伴う 深い共感を抱いた
それは
あなたを理解する 唯一の手がかりとなった
妹よ
新しい旅立ちの日は 間近だ
だから
あなたが残した 恋詩(こいうた)の一片を
あなたが残した 淡く切ない恋情のかけらを
いまこうして 書き残すことを
兄からのはなむけとして 受け取ってほしい
あなたのために なにもできなかった後悔と
あなたが 妹であったことへの 深い感謝を込めて
〔2019年11月16日書き下ろし。妹琴代の恋詩の紹介をさせていただいた。命日が近い〕