世話焼き母ちゃん倒れた!

ナレーション
地域のお世話焼きの名物母ちゃんが倒れたってニュースが、NHKニュースよりも早く速報で流れた。てんやわんやの大騒ぎ。なんせ地域の福祉は、母ちゃんの双肩にかかっていて、一手に担っていた人であり、地域のリーダーだった。

(心配して、情報通の令子の家に和子、一乃の二人がやってきた)

和子 「聞いだが」
一乃 「いやー、心配ぺいだー」
令子 「井原のばっちゃんの病院に付き添いさ、いったども。
待ってる間に何だか頭が急に痛ぐなって、倒れたど。
そばさいた人が、すぐに看護婦さんどご呼んで、緊急処置して、助かったど」
和子 「ほいだばいがった、いがった。それでなして倒れだ?」
一乃 「あだったど?」
令子 「いや、くも膜下出血だど」
一乃 「えで倒れたら、そんどだったな」
和子 「本当に助かったって聞いて、えがったと思った」
一乃 「えがった、えがった」
和子 「私なんか、なんぼか世話になったか」
令子 「あの母ちゃんに、世話になっていね人、誰もいね」
一乃 「どんだけ世話になったか、倒れられると身にしみるな」
和子 「この際、ゆっくり養生してもらわねばねーな」
令子 「そうしゃべっても、心配性の母ちゃんだから、寝て気が気でねべな」
一乃 「じゃ、安心してもらうには、どうしたらいいべな」
令子 「母ちゃん一人に責任かぶせて、甘え放しになってだ、今となっては反省しねばねーな」
和子 「ほんとにほんだな。隣のばっちゃんだって、いままで母ちゃんが行って世話焼いていだから、安心してたけど」
令子 「けつは軽いし、口はかだいし。だから任せられるって、よくしゃべってだ」
一乃 「いろいろ聞けば聞くほど、パワフル母ちゃんだ。だれもその役目、代われねな」
和子 「そこなんだよ。誰も代わりがいないと思うと、母ちゃん気がかりで寝てもいられね」
令子 「ゆっくり養生してもらうには、どうしたらいいべ?」

(三人は、悩み始めました。話はなかなか前には進まないようです)

ナレーション
さてお世話焼きの母ちゃん、病院のベッドでゆっくり養生をしてもらいたいと、三人は知恵を絞ります。皆さんなら、母ちゃんが地域に戻ってきても、今までのように母ちゃんを頼らずに暮らしていくにはどうしたらいいのか、教えてください。

〔2019年12月5日上演。秋田県鹿角市地域福祉実践研究セミナーで、劇団「さんばーず」が演じます。5~6年前から、地域福祉懇談会やセミナーなどで課題提起の寸劇を鹿角弁でコミカルに演じる「さんばーず」は最高です。年に一度の公演、開演間近です〕