担当になって1年半
事務局として 何をしてきたのだろうか
ふと気にかかった
そもそもの法的根拠を確かめた
〈民生委員児童委員の身分〉は
非常勤特別職の地方公務員(地方公務員法3条3項2号)
俸給または給料を受けない公の職(民生委員法第10条)
活動に必要は実費弁償の手当を受けるだけ
公務中の災害は地方公務員災害補償法による補償制度の適用を受ける
基本は 手弁当のボランティア活動
知らずに 見下す人もいる
これって 許されない態度だと 肝に銘じました
〈民生委員の職務〉です(民生委員法第14条)
専門家でもない人たちに これだけの職務を課しているのです
どれだけ安直に考えていたのか 一目瞭然です
《住民の生活状況を必要に応じた調査》
地域での暮らしに困難性を持つ人の把握は活動の基本
行政の目と耳になって 地域福祉を支えます
プライバシーの保護や守秘義務が いつも求められます
でもその調査の結果が どう生かされたのかの報告はしていません
施策に展開できない調査って 意味がありますか
仕事を漠然と放置してきたことで 地域の問題解決を遅らせます
決して委員の皆さんの責任ではありません
《援助を必要とする人への生活相談に応じて助言などの自立援助》
福祉六法(生活保護法 児童福祉法 身体障害者福祉法 知的障害者福祉法 老人福祉法母子及び寡婦福祉法)や売春防止法などによる援助を必要とする者
援助を必要する対象者が これだけいるのは大きな驚きです
役所でこの業務をこなせる者は 一体何人いるでしょう
地域住民の立場で その人の立場に立って 必要な援助を行う
委員の見識や経験も千差万別
適切な相談・援助を求めているのです
担当には担いきれない多くのことを
平然と求めてきたことへの恥ずかしさと
それをこなしてきている委員の皆さんの活動には
ただただ頭が下がります
《福祉サービスを適切に利用するための必要な情報提供》
介護保険制度の運用は 市町村の保健福祉課や包括支援センターの仕事です
事業所の提供するサービスの内容を把握して
利用者に伝え 納得のいく事業者選択を支援する
役所の業務を 無償で肩代わりをさせて
楽をするために 委員を効率的に使おうと
そんな魂胆でいるなら 役所は慢心しています
ただ活動記録を整理する
民生委員協議会への出席と 求められれば意見を言う
何事もなければ すべて協議会に一任する
指揮監督(民生委員法第17条2項)するためには
民生委員児童委員の職務の実態 今一度しっかりと認識しなければ
指揮監督なんておこがましい
委員のおもいを受けとめなければ ともに問題解決なんてできません
地域社会のために貢献すべき公務員 お題目だけ唱えていても
なすべき仕事に 本気で取り組んでいるのでしょうか
委員が自主的・主体的に動けるように 支援するのが役所の本来業務です
委員の皆さんの真摯な取り組みに
ただただ頭が下がります
《地域の福祉事業を経営する者や社会福祉の活動を行う者と密接に連携し
その福祉事業や活動の支援》
在宅サービスではもう限界の寝たきり老人 老人ホームに斡旋します
保育に困難性を抱える人を 児童福祉施設に斡旋します
福祉施設の地域貢献事業にも その促進に一肌脱いで動きます
いろんな問題 委員の裁量で動いてくれて助かります
担当は机の前に座って ただ漫然と仕事する
だから現場は知りませんで
それでいいわけありません
どんどん疑問がわき出てきます
《社会福祉法に定める福祉に関する事務所その他の関係行政機関の業務に協力》
福祉六法に定める援護・育成または更正に関する事務を司る福祉事務所
児童相談所 心身障害者総合相談所 女性相談援助センター 保健所 公共職業安定所
家庭裁判所 健康保険協会 年金事務所 学校 警察 その他の関係行政機関です
困難を抱えている住民が どの窓口へ行くのがいいのか その橋渡しが職務です
地域の住民には 社会福祉に関する理解と関心を高めるよう援助するのです
何をどのように整理して 適切な窓口にどうつないでいくのか
社会福祉への理解と協力をどう得ていくのか
担当として 地域でこなす自信はありません
専門機関や人とのとのつながりを 承知していなければなりません
担当1年半 一体何をしてきたのでしょうか
地域で無償で活動する 委員の気概に圧倒されています
《必要に応じて地域福祉の推進活動》
援助を必要とする者や 個々の生活問題を扱うばかりではありません
地域福祉推進の担い手として 地域づくりに参画するのです
役所でも「地域福祉計画」はずいぶん前に立てました
建前ならべた項目は 多くは記憶に残りません
だから 福祉で地域をどうつくるのかは 社協の仕事と割り切って
予算の案配整えて 安上がりの福祉論議が幅を利かせてきています
地域福祉の実際も 実は何も知りません
本来ならば 地域に密着して活動している委員から
生の情報を寄せられて それを整理分析し 行政施策に反映する
そこで担当部署に なんらかの働きかけをする
これが本来の業務ではないかと はたと気づきました
〈民生委員協議会の任務〉(民生委員法第24条)読み返す
第2項「民生委員協議会は、民生委員の職務に関して必要と認める意見を関係各庁に具申することができる」
ここがおざなりにされてきたのではないかと 反省しきり
委員は準国家公務員であるがゆえに 意見具申することは任務です
問題あると気づいても 委員からの声が上がらなければ そのまま放置
何もしないことが 仕事を増やさない
そんな役所のやり方に 何ら疑問も持たずに大過なくきました
でもいまは 空しさを覚えています
この業務が 地域の住民に支えられている現実を 直視できずに1年半
ただただ無為に過ごしてきたのは 緩慢だと知りました
委員との信頼関係や協働関係をつくろうともせず
地域で身を粉にして活動する方々に 一体何をしてきたのだろうか
真剣に地域の困りごとを考え 困っている人を援助しようと
強い気持ちで 仕事と向き合ってきたのだろうか
共に歩もうと 委員に寄り添ってきたのだろうか
委員をまるで行政の手足のようにしてきたのではないだろうか
委員の申し出に ぞんざいな扱い方をしてはこなかったろうか
傲慢以外なにものでもない自分に
ただただあきれるばかりです
民児協の担当です
この改選期は 大事なリスタート
うちのマチの民生委員児童委員さん
私 担当です
皆さんと行政・機関をつなぐ 調整能力を磨きます
困ったときにはすぐ駆けつけて 一緒に問題解決に努めます
私 担当です
私も悩みます 困ることもあります
でも 皆さんのお力借りて仕事に励みます
私 担当です
行政の一番大事な住民サービスの前線にいる
皆さんの力を集めて 今の時代を乗り切ります
私 担当になって
粗末にしてはならない 事の重要性に目覚めました
真摯に 皆さんと当事者や福祉の問題に向き合っていきます
いまの仕事を 我が子に誇れるよう努めます
〔2019年12月22日書き下ろし。市町村の民生委員児童委員協議会の担当の仕事への意識と意欲が変われば、委員もきっと元気が出て、マチの福祉力が強くなります。ガンバレ担当さん〕