久しぶりに雪が降ったという 少ししばれた函館の夜
その地に住まう 中学高校時代の友を
数年ぶりに 呼び出して
寿司屋で 語り合う
酒の飲めぬ友は お茶を飲みながら近況を語る
互いの健康チェックから始まって
家族の動向や 仕事の話と尽きない
共通の友の名を出しては その消息を確かめる
もう50年近くも会っていない 級友たちの懐かしい名前
同窓会にも 出席したこともなく
若き時代の友の消息を知る手立ては 年賀状だ
あいつ山登りを始めたらしいぞ 元気だな
退職後故郷に戻って 実家で母親の世話を始めたとか 老老介護大変だな
市議会議員をリタイヤして ようやく自分の時間が持てたんじゃないか ご苦労さん
福岡に移住したって 老いると気候温暖の方がいいよな
悪い噂話は 聞こえてこない
青春という時間(とき)を刻んだ 代え難い時代
高度経済成長のど真ん中から社会に出て
いいときも悪いときも 果敢に人生を生き抜いてきた級友たち
想い出は 二人の胸中を駆け巡る
ただそこに留まることを よしとはしない二人だった
過去をふり返るよりも これからどうするのか
明日を考える喜びを 共に語り合うことが一番だった
夫婦で内地に旅行に行くこと
息子が旅行に関係する仕事をしていて 手配をしてくれたこと
コロナウイルスの流行が気にかかるが 楽しみにしていること
日常の中にある非日常性が こころをときめかす
6時間のバス移動で疲れた体が 癒やされた2時間
また会うことを約束して 別れた
送ってくれた彼の伴侶に 旅行の無事を伝えながら
友に明日の鋭気をもらったことを 感謝した
時間軸の中で 出会った友たちとの関わりの濃度を
確かめ合う貴重な機会を噛みしめながら
人の幸せを祈ることの喜びを 思う存分味わいたい
明日を語ることの歓びを 思う存分書き続けたい
いまの立ち位置に 安堵している自分がいた
〔2020年2月5日書き下ろし。3年ぶりに函館に来て友と再会。ブログの愛読者。褒められると素直に嬉しい。身近に感じていたことが互いの心の距離を埋めていく〕