二本の矢

一本は 折れる寸前の経済成長だった
株価市場の世界的な暴落で 年金ファンドは危機に陥る
その場しのぎの税金ばらまき 火に油を注ぐ
残りの二本は 意地でも折られたくなかった
一本は オリンピックの開催
もう一本は 憲法改正

最後のあがきの 国会劇場
オリンピック中止も カウントダウンが始まった
憲法改正 どこの世界の話だと一笑にふされ
成果なき時代の終焉告げる ラストステージ
弄する詭弁も 同じフレーズ 聞き飽きた

晋の解字は かくの如し(「漢字源」から)
二本の矢が並んで 目標向かって突き進むさま
ずんずん伸びすすむこと

二本の矢を射る力は すでに残っていない
いままでやりたい放題 言いたい放題 
我が世の春を謳歌した そのツケが
見事に 己に突き刺さる

自分のおもいは叶わず 新コロナに負ける 
長い間政権執って 何の実績も人も残せなかった
歴史の評価に耐えぬ 公文書しか残せなかった
この情報化時代 関心は薄れ すぐに過去の人となる

晋の一字に刻まれし 己の目標(欲望)果たし得ず
退場の舞台は すでに忖度せし者たちが準備する
最後の教え 準備を怠れば政治にあらず
心のこもらぬスローガン 薄っぺらなキャッチコピー 
歴史には 最も言葉の軽い宰相と名を刻む 

〔2020年3月16日書き下ろし。近未来を描いてみた。彼の大きな成果は、政治家の言葉の劣化だけだった〕