速報が流れた 昨夜タレントの志村けん氏(70歳)が亡くなった
同年の彼の死を悼むと共に その死が語る重大さをしっかりと受けとめたい
都民のそして国民の危機意識と 国の防疫体制が一層強化されることを願いたい
世界の177カ国・地域で 70万人を超えた
死者は約3万3千人を突破
各国がウイルス検査態勢を充実させる中 感染者が増えている
東京は 感染爆発の重大局面 その影響は甚大と
都知事にそう煽られながら 新型コロナの罹患者が増え続けている
今朝の日経ビジネスで 首都封鎖されたらどうなるか
「知っておくべき10」(記者島津 翔 他1名)として報告された
その概要をまとめながら この事態をふりかえる
(1) 都市封鎖(ロックダウン)って何?
都市封鎖(ロックダウン)とは、対象とするエリアの人の移動を制限したり企業活動を禁じることを指す。定義はあいまいで、都は諸外国で既に採用されている外出禁止などを想定して使用。中国・湖北省の武漢では1月23日から、空港や鉄道駅、高速道路などを閉鎖、都市を事実上封鎖した。
イタリア、スペイン、フランス、英国などは3月中旬から相次いで不要不急の外出を禁止。イタリアでは、生活必需品の購入さえ、1週間に1度程度に制限している。
米国も3月28日時点で、20以上の州が外出制限を実施。ニューヨーク州は22日から原則として州内の事業者の全従業員に対して出社を禁止し、完全在宅勤務を義務付けた。
世界中で、入国禁止を打ち出した。
日本は米国、中国、韓国の全土と、英国など欧州のほぼ全域からの外国人の入国を拒否する水際対策を大幅に強化する方針を固めた。外務省は今日にも、これらの地域の感染症危険情報を2番目に強い「レベル3」として、日本からの渡航中止を勧告する。昨日の道内の新規感染者は、欧州からの帰国者だった。
米大統領は29日、全国民に求めている行動制限を1ヶ月延ばし4月30日まで続けると発表した。事態を中国になすりつける愚弄を繰り返す金の亡者が、戦争だとリードして、選挙に勝つならどんな卑劣な手立ても厭わない。そんな男も経済の一部再開に向けて4月12日までに自粛要請の緩和を目指してきたが、「致死率が2週間以内にピークを迎える可能性がある」と、自身の目論見の甘さを露見した。アメリカの感染者は急増し、すでに12万人を超えている。イタリアは死亡者が1万人を超えてしまった。
アフリカなど医療機関の体制が不備な国に拡大する危険性が迫っている。東京が感染爆発の兆候を見せ始めているときに、来年のオリンピックの日程を決定し発表するも、世界から顰蹙(ひんしゅく)を買うことぐらいわからないのか、情けないとただ呆れてしまう。延期決定後の東京の感染者数の急激な増加も、政治的な思惑を疑われる始末である。
(2) 日本ではどんな根拠法に基づく? 従わなかったらどうなる?
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言によって、都道府県知事が外出自粛の「要請」、学校や福祉施設などの使用制限に関する「要請」や「指示」が可能になる。
内閣官房新型インフルエンザ等対策室によれば、特措法における「要請」とは、一定の行為について要請を受けた相手に対し好意的な処理を期待するものであり、その相手は要請を法的に履行すべき立場に立たされない。「指示」とは一定の行為を実施させることを指し、指示事項について相手に法的な履行義務が生じる。
指示に違反し、法で刑事罰が規定されているのは、必要な物資を確保するための都道府県知事からの命令に従わず、必要物資を隠匿、損壊、廃棄したケースなどに限られる。外出自粛や使用制限について特措法は罰則規定を置いていない。ただし、民事上の損害賠償の対象になる恐れがある。
独裁政治の国民統治の武器となる「緊急事態宣言」の使い勝手による危険性も、常に考え注視しなければならない。怖いのは法ではなく、それを執行する権力者である。
(3) どの施設がどう封鎖される?
特措法によれば、都道府県知事が使用制限を要請・指示できるのは、学校や社会福祉施設、興行場(映画や演劇、音楽、スポーツ、演芸などを公衆に提供する施設)。また、これらの施設におけるイベントやセミナーの制限についても要請・指示できる。さらに、都道府県知事は感染症の病原体に汚染された場所の交通を72時間以内に限って遮断できる。
要請による中止による文化活動に従事するフリーランサーや経営者の保証の道は、いまも断たれたままで放置されている。政府には補填する気はさらさらない。労働を守ると言葉だけがいつも空回りの内閣は、信用失墜を繰り返す。彼らの頭の中には、国民にどんなカタチの恩を売るのが最も効果的か、ソロバン勘定しかない。
不思議なこと。密閉・密集・密接の3条件が揃っているパチンコ業界から、感染者が店から出た話は聞こえてこない。放課後学童保育の現場からも聞こえてこない。全学休校措置は何だったのか?
(4) 封鎖の期間はどれくらい?
政府は緊急事態宣言の発令による封鎖の期間について、21日程度とする方針を掲げ、これを目安に感染状況を踏まえながら、短縮や延長について検討する。
ただ各国は、軒並み封鎖期間の延長を迫られている。3月10日から全土を封鎖したイタリアは、当初商店の営業禁止については25日、外出禁止については4月3日までとしていたが、商店の営業も外出禁止も5月まで続けられる見通し。英国は3月23日から3週間としていた封鎖を、今後6カ月に渡り継続する可能性があると指摘。スペインやマレーシアも3月末までとしていた計画を、4月半ばまで延長すると発表した。
封鎖期間中も域内で感染拡大に歯止めがかからず、想定された抑制効果を発揮しない限りは延長を続けるほかはない。どれくらいの期間、封鎖を続ければ新型コロナを封じ込められるのか、その答えはまだ見えていない。封鎖を続ければ続けるほど、経済への影響や人々の不安は強まるが、感染収束の気配が見えない以上、各国とも現状では封鎖を続けざるを得なくなっている。
もしも東京のロックダウンが宣言されると、影響の甚大さは容易に想像できよう。
そんな世界情勢の中で、オリンピックを論ずる指導者の資質の劣化がさらに進んでいく。
(5) 食料の在庫はどうなる?
3月25日夜の会見で、小池知事が都民に対して週末の不要不急の外出自粛を求めると、その直後から都内のスーパーマーケットなどで買い占めが発生し、食料品棚の多くが空になる事態となった。
消費者庁など3省庁は翌26日、「食料品は十分な供給量を確保している。安心して、落ち着いた購買行動をお願いする」とするコメントを出した。(1)食料品は必要な分だけ買うようにする、(2)過度な買いだめや買い急ぎはしない、(3)転売目的の購入はしない、という3つの行動を呼びかける。農林水産省食料産業局は、即席めんについては「在庫は十分にある。現在、平時の2〜3割増の増産体制を敷いており、必要に応じてさらなる増産も可能だ」、冷凍食品については「流通からの発注は伸びているものの、在庫で十分に対応可能だ」など、各団体から在庫が十分であるとの回答を得たという。
群集心理が働くと、政府のコメントなんぞ簡単に無視される。セーブは効かなくなることは実証済みだ。それ以上に、政権との信頼関係が揺らいでいるいま、その言葉を鵜呑みにするほど、バカじゃない。そうさせた政府への抵抗は否定できない。
特に各国で外出規制の様子がニュースで流されている事態を見るにつけ、生活防衛のための行動をいま起こさなければ危ないという危機感は当然起こる。一方で感染爆発の重大局面だと煽られ、食品供給は大丈夫と言われても、買い物に行くことすら出来ず、スーパーが閉鎖されれば、一体どうなるのか。そこに大きな矛盾があることは誰もが知っている。買いだめを阻止できない事態が、ロックダウンではないのか。そこでも貧しき者は置いてきぼりになる。
(6) 東京が封鎖された場合、経済への打撃はどの程度?
野村総合研究所は3月26日、東京都がロックダウンされた場合の経済への影響についての概算を発表。仮に1カ月に渡って封鎖された場合、日本全体の個人消費を2.49兆円減少させ、日本の1年間のGDP(国内総生産)を0.44%押し下げると試算し、「1カ月のロックダウンであったとしても、それによって失われる需要は、東京五輪延期が2020年のGDPに与える影響を上回る計算だ」とした。
野村総研は、人の移動が厳しく制限される場合に最も顕著な影響が現れるのは個人消費だとし、ロックダウン下でも変わらずに消費される可能性が高い項目を抽出。食料・飲料(25.4%)、家賃(4.3%)、高熱・水道(7.4%)、医療サービス(2.6%)、通信(4.5%)の計44.2%は維持されるとして、残りの55.8%の大部分が一時的に支出されないと仮定して試算している。
あくまでも一般論であり、平均家庭の支出である。都民がどのようにその生計を維持するのか、55.8%が一時的に支出されないとすれば、その経済的なダメージは計り知れない。国が個人消費に向けて金をばらまいても、庶民は貯金するしかない。ばらまきと同時に、消費税をゼロにして、低所得層の暮らしを維持するとともに、国民の消費を促すことこそ「次元の異なる」経済対策となる。
(7) 全国の都市が封鎖される可能性はある?
爆発的な感染拡大が各地で始まったり、それが予見されたりする場合、封鎖される地域が広がる可能性はある。イタリアは3月8日に感染が集中している北部を封鎖したが、10日には全土封鎖に踏み切った。フィリピンも3月15日にマニラ首都圏を封鎖すると、その2日後にはマニラを含むルソン島全体を封鎖した。
米国では20以上の州が独自の判断で外出を規制する措置を取った。仮に東京都が封鎖に踏み切った場合、周辺の自治体が歩調を合わせて同様の封鎖に乗り出す可能性はあるだろう。26日には東京と神奈川、千葉、埼玉、山梨の1都4県が不要不急の外出を自粛するようにとの共同メッセージを発表。感染が拡大している地域に緊急事態宣言が出され、外出規制や娯楽施設の営業停止などが実施される可能性はありそうだ。
欧州ではイタリアを始め英国、フランス、スペインなどが、アジアではインドやマレーシアなどが全土封鎖に踏み切った。インドもイタリア同様に、当初は感染が発生した地区に限って封鎖を実施したが、数日後には封鎖範囲を全土に広げた。現状で日本がいきなり全土封鎖に踏み切るとは考えにくいが、感染の拡大に歯止めがかからず、一部地域を封鎖しても効果が限られるようであれば、封鎖範囲を広げざるを得なくなるだろう。
部分的な封鎖には弱点もある。タイでは首都バンコクの商業施設や娯楽施設を封鎖した結果、職を失った出稼ぎの地方出身者や外国人労働者が故郷を目指し大挙してバンコクを離れる動きが起きた。感染者が各地に散らばることを恐れた当局は住民に都内にとどまるよう要請したものの流れは止まらず、政府は非常事態宣言を出すことを迫られた。
封鎖が実施される前に多くの人々が脱出を図ろうと動き出したり、封鎖後も域内から出る人が続出すれば、感染拡大のリスクはかえって高まり、より強力な封鎖や全土封鎖が現実味を帯びる。
首都圏と通勤圏域も併せた封鎖は、現実のものになるかもしれない。タレント志村氏の死は、都民に衝撃を与えたであろう。なぜなら、彼は手厚い治療を受けても回復しなかったという事実を露わにしたからである。
(8) 親族が死去しても葬儀はできない?
イタリアのように、新型コロナウイルスのまん延を防止するために一切の葬儀を禁止している国もある。日本の現行法下では、都内全ての葬儀を禁止するのは難しい。「自粛ムード」は葬儀にも影響を及ぼし始めている。政府がイベントや集会の中止、規模縮小などを要請した後の3月1週目から、通夜と告別式を開かない「火葬式」の比率がそれ以前と比べて1割ほど上昇しているという。こうした状況を受けて、近親者のみで故人を見送った後、感染症の収束を待って2度目の葬儀を実施する「後葬」を始めた葬儀関連サービスも出てきている。
イタリアでスケートリンクに置かれた棺の映像が流れる。教会には収容しきれない棺が並ぶ。東日本大震災の時も、犠牲者の棺と火葬の場が不足した。死者はまだ少なくても、風聞で感染した家族が差別されることも、日本の悲しき現実だ。感染死した不遇の魂の安らぐところはあるのだろうか。
(9) 対面での受診なしで薬の処方箋はもらえる?
厚生労働省は2月29日までに、慢性疾患などの持病を持つ患者に対して、直接の受診ではなく電話での問診などでも処方箋を発行できる方針を各自治体に通知した。電話やタブレットなどの通信機器で医師が診察し、患者にそれまで処方していた治療薬を処方し、処方箋を患者が希望する薬局に送付する仕組みだ。ただし、新型コロナウイルスの感染が疑われる患者については、重症度の評価が困難であることなどから、医師との対面の診療を要請した。
養護老人ホームで、家族の面会や利用者の通院を制限したところ、今冬インフルエンザや風邪が全く流行しなかったという。東京でも病院や千葉県内の障がい者施設での院内感染が発生し、その対応に苦慮するところである。災害であれば医師も看護師も現地への派遣は可能であるが、感染者の入院治療するための態勢は、外部からの支援を受けにくい。勤務シフトも突然の学校休校措置で、医療現場で看護師が不足し、そのシフトに支障をきたしたことからも、重篤患者の人工肺設備の問題や軽症患者の対応など、現場任せにできない事態を考慮した指針を政府はしっかりと出さなけれならない。医療の崩壊は、従事者と表裏一体の関係にあることを、広く知るべきであろう。なんとしても医療者を支えなければならない。
障がい者施設も同様だ。外部からの支援をどのように行うのか。未知なる課題が次々に降りかかってくるが、今できる支援を迅速に判断し動くことが、行政の仕事でもある。行政にも頑張ってもらうほかない。
(10) 封鎖中の休業補償はどうなる?
現状で都市の封鎖に焦点を合わせた補償はなさそうだ。ただ新型コロナにより休業を強いられた企業や個人事業主に対する支援策は既にある。例えば国は経営が悪化した企業が雇用を維持できるようにする「雇用調整助成金」を拡充した。行政の要請を受けて事業所を閉鎖し、事業活動が縮小した事業主に助成金を支給、従業員の休業手当などに充てられる。また政府が3月10日に策定した緊急対応策第2弾では、新型コロナの影響で収入が減少した世帯や事業者に対する貸付制度や資金繰りを支える融資の保証制度などが用意された。さらに足元で検討が進む第3弾の対応策でも、休業せざるを得なくなった企業や個人事業主に対する支援策が盛り込まれそうだ。
日本でも封鎖を実施するとなれば、合わせてより強力な支援策を打ち出だすことを国や自治体は求められるだろう。ただ仮に支援が手厚くなったとしても、補償される範囲は一部にとどまる。売り上げの減少や損失の拡大は免れないだろう。
貸付は借金そのもの。その場しのぎの資金で、見通しの悪いいまを乗り切ることは、全く計算できない。だれもその答えを持たないだけに、借金は、真綿のように首を絞めることにならないのか、小規模事業者の苦悩の深さを感じる。
経済復興も、国内の生産ラインを維持する様々な物品の供給拠点が、世界中に散在している。そこで一時解雇や雇い止めが出ている現状を考えると、一国の問題ではないことが、今回の新型コロナウイルスの蔓延で、痛烈な経済ダメージとして表出した。
いまは耐えるしか道はないのか。
〔2020年3月30日書き下ろし。ここ数ヶ月の新型コロナウイルスによるダメージをまとめてみた。4月子どもたちが無事入学式や始業式を迎えてほしいと祈るばかりである〕