腰痛と老化準備学習

朝いつものように顔を洗う
突然ビビッと神経的な痛みが走る
腰が砕け その場にうずくまる

その朝から 布団と友だちになった
処方された痛み止めで 小康状態
椅子に座る姿勢が 鬼門となった
ノートパソコンを タブレット入力に変え
寝床で パソコンを胸元に置いて
タッチペンで 一文字一文字叩く
入力スピードは 格段に落ちるが
退屈な寝床での作業も 
これはこれで  愉しめる

近い将来の 良き疑似体験
座るという日常動作が 不能となれば
食べることさえ 苦痛に変わる
立つか寝るしかない
頭と指が動くうちは
リクライニングベッドの上で 読んだり書いたりするしか
余生の楽しみはないだろう
音声入力も魅力ではあるが
滑舌が悪くなると予想して 誤字がきっと多くなる
最終手段に残しておいて
まずはボッコ打ちに慣れておこう

老いの道半ばでの準備は
機能低下の その時になっては遅すぎる 
習得までには 手間と体力と時間がかかる
いまから最悪の事態に備えて
身体に覚え込ませることが 老化準備学習

腰痛は ポジティブな老化準備学習プログラムを提供する
腰痛で 当たり前の暮らしの有り難さを痛感する
腰痛が 行動制限をかける厳しさを味わおう

腰痛は 時間をかけて 薬と治術とストレッチでいずれ快復する
ただ 人はいかに現金な生きものかを よくわきまえている
だから 痛みに見合う老化準備学習を続けることが 課題となった 

いま世界を席巻しているコロナ禍は 叡智そして仁心を失った
傲慢な人間世界への 自然の脅威そのもの
だから その痛みに見合う共生共存への学習と対策が 喫緊の課題となった

〔2020年4月28日書き下ろし。遅筆です。痛みから何を学び生かすのか。私利私欲を離れ、人それぞれが学びの本質に迫ることが重要ではないだろうか〕