媚(こ)びよう

媚びるのはわけない
志を捨てればいい
そんなもんは 端っからないか

媚びよう 媚びよう
好き嫌いなんて二の次 どうとでもなる
自分だけ我慢できりゃ この世は極楽

媚びるのに 後ろめたさなんか何もない
相手の懐に入れば 上出来御の字
後は甘露をたっぷり味わうだけのこと

媚びよう 媚びよう
競争相手は 情け無用に蹴落として
自分だけに 浴びようスポット
すっぽと収まりつけば 向かうところ敵無し

媚びるのに 注意事項はただ一つ
凋落には 決してつき合わない
察知したら すばやく乗り換える
この不義理と決断が いのち綱
このスリリングさが たまんない

媚びよう 媚びよう
裏切り 寝返り 叛意(はんい)
なんでもありの この世界
ないのは〈信〉の一文字 この世界

媚びるだけでは 自分が誰だか 
行方不明と相成ります
たまに集(たか)らず 自前で遊ぶ
自由を満喫しながら 己を取り戻す 

媚びよう 媚びよう ドンドン媚びよう
知力・体力・忍耐力 底知れず
パワーのもとは 自己愛そのもの

今日も 生きながえたことへ感謝して
媚びて得た成果を 残高見ながら確かめる

〔2020年6月14日書き下ろし。正直者は媚びずに生きる。ただそれだけのことです。政権にまとわりつく疑惑の数々、ただただ恐ろしい闇世界〕