ひとつはひとつにあらず

ふと ひとつのことが 気になった
そのことは こころに止まった
だから 捨て置けなくなった

ふいに ひとつのことが まとわりついた
そのことから 逃れられなくなった
だから 関わるしかなくなった

ひとつのことは ひとつではなかった
ひとつと見えていただけのことだった
ひとつはひとつと思ってはいけない

ひとつのことを 知りたくなって
ひとつがふたつ ふたつがよっつ
知らなきゃいけないことが増えてきた

ひとつがこんなことになろうとは
よろけながらも 追いかける
どんどん深みにはまった 迷い道

どっちを向いても 出口が見えない
一人置かれて 途方に暮れる
何も出来ずに 立ち尽くす

ひとつはひとつにあらずして
そこに始まる 思索の迷い道
ひとつはっきりしていることは
その道を面白がるのは 自分だと
だから
出口は探さず つくるしかない

〔2020年6月24日書き下ろし。ひとつのことの先にある思索の迷い道を楽しむ〕