きみがただいるだけで

コロナ禍の夏
きみは生まれた

きみがただいるだけで
世界は どうしてこうも明るくなるのだろうか
きみがただいるだけで
ひとは どうしてこうも優しくなれるのだろうか

きみといるだけで
どうしてこころが安らぐのだろう
きみといるだけで
どうしてこころがぬくもるのだろう

きみが泣くと
世界中の悲しみを みんな集めたよう
きみが笑うと
世界中の喜びを みんな集めたよう

きみの小さなその手には
大きな愛を 握っている
きみの大きなその瞳には
大きな希望を 見つめている

きみとは会えなくても
きみがすこやかに育ちますよう
祈っています

きみとは出会うことがなくても
きみが仕合わせになりますよう
動く人に なります

〔2020年8月10日書き下ろし。敗戦の日を前に、世界中の子どもたちがすこやかに育ちゆく平和な世界をつくる誓いを、犠牲になった御霊に捧げます〕