責任感が強い

男は責任感が 人一倍強かった
休まず仕事することこそ 本望だった

男は責任感の 塊だった
休むことは 罪深いと思った

男は責任感の重圧に 耐えていた 
休まず励んだから 判断ミスが重なった

ただ男は責任感を はき違えていた
自分がミスったことには 
なに一つ 責任は感じなかった

さらに男も取り巻きたちも
日本語を 正しく理解できなかった

責任とは 自分が引き受けて行わなければならない任務や義務
いつも途中で投げ出し 矛先を変えた
責任とは 自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い
不都合が生じると 隠蔽と嘘を重ねた
責任とは 法律上の不利益または制裁を負わされること
憲法の解釈変えて 法治国家の土台を揺るがし続けた

男は責任の重さを ほんとは知っていた
でも 責任を負うことはしなかった
だから 責任をとって辞することもしなかった
なぜなら 責任の所在を曖昧にし 責任転嫁することに
不思議と 長けていたからだ

世の中は すでに疲労困憊していた
熱波の中 働きずくめのマスクの群れが
コロナ禍の中で 安全に休める場所もなく
不安と恐怖を抱きながら 
閉塞した社会で 必死に希望の出口を探す

男は 無責任という衣に着替えて
今宵も静かに寝入る

〔2020年8月16日書き下ろし。人一倍責任感が強いと初めて聞かされた。その解釈がそもそも違うことに気づかされた〕

付記
甘利氏、首相の疲労蓄積を心配 
自民党の甘利明税制調査会長は16日のフジテレビの番組で、新型コロナウイルス対応のため、連続勤務となっている安倍晋三首相の疲労蓄積を心配した。「ちょっと休んでもらいたい。責任感が強く、自分が休むことは罪だとの意識まで持っている」と述べた。甘利氏は首相側近。12日に1時間近く2人で会談している。(毎日新聞2020年8月16日)