プッツン

なぜあれだけ こだわったのだろう
どうして 頑なに意地を張ったのだろう

プッツンと切れた
とたんに なぜどうしてだけが
き・え・た

なぜあれだけ 無理強いをしたのだろう
どうして 異言を拒んだのだろう

プッツンと切れた
とたんに なぜどうしてだけが
に・げ・た

なぜあれだけ 情熱を注いだのだろう
どうして 視界を狭くしたのだろう

プッツンと切れた
とたんに なぜどうしてだけが
と・ん・だ

悔しさが
の・こ・る
虚しさが
し・み・る
赤とんぼが
わ・ら・う

〔2020年9月9日書き下ろし。座を降りた途端、振り返りたくない残滓。栄華の跡に吹く秋風に赤ンボが舞う〕