2度目も 賛否は拮抗した
そして 負けた
二重行政の 弊害の改革
20年に及ぶ試みは
ここで頓挫した
知事と市長の席を取り替えて
ダブル選挙で 維新の威信をかけた
「大阪都構想」の実現への
民意を得たと 確信した
コロナ禍で 賛否を問う
手腕を発揮した 知事の人気に便乗し
前回反対に回った 公明党が参戦し
党首が街頭で 賛成を呼びかける
外野席も 賛否両論で盛り上げた
公約実現のために
その裏で 公金100億円は 消えた
構想がスタートしてから 累積された公金
緊縮財政下 職員のリストラを強行しながらも
100人もの人材を集めた部局は 68億円もの人件費を費やした
3回の首長選挙で 18億円
2回の住民投票で 19億円
政党の公約を実現するために 公金が湯水のように使われた
政党が選挙で民意を得たと 公金は政治資金のように使われた
政党の勝てると思った判断ミスで 公金は淀川に流れていった
代表の引退宣言で 注目度を上げたが
僅差での負けは負け
疲労感漂う 記者会見での表情
もう辞めたがっていたかもしれない
第2ステージが始まった
二重行政のリスクを明らかにして
府も市も いまの体制を維持しながら
68億円もかけた仕事のエキスを無駄にすることなく
改革の道を いまこそ本気で取り組まねばならない
まっぷたつに分かれた民意を 正反合の合へと導く責任が
残りの任期にあることを 引退の花道とすべきであろう
〔2020年11月2日書き下ろし。大阪人の厳しい判断が下された。終わりの始まり。代表辞任では片付けられない宿題を済ますしかない〕
付記
大阪都構想関連に公金100億円超 府市13年以降に 人件費や選挙など
地域政党「大阪維新の会」は2010年に結党して以降、党最大の公約に掲げた「大阪都構想」の実現を目指してきた。制度設計を担う大阪府と大阪市の共同部署「大都市局」が設置された13年4月以降、都構想関連の事務には少なくとも100億円を超える府市の公金がつぎ込まれ、多くの職員も投入された。
都構想の法的根拠となる大都市地域特別区設置法(大都市法)が12年9月に施行され、府市は翌13年2月に制度案を協議する法定協議会を設置。4月には約100人の職員を集めて大都市局が発足した。
14年2月には、当時の橋下徹市長が都構想の議論が行き詰まったとして、「法定協の反対派メンバーの交代」などを公約に掲げて出直し市長選を仕掛けた。橋下氏は3月に再選され、15年5月の住民投票にこぎつけたが、反対70万5585票、賛成69万4844票の1万票差で否決され、政界引退に追い込まれた。大都市局も6月に廃止された。
しかし5カ月後、都構想への再挑戦を掲げた知事・市長のダブル選で勝利。知事に松井一郎氏、市長に吉村洋文氏が当選した。16年4月に再び府市にまたがる「副首都推進局」が設置され、最大約100人の職員が毎年投入された。大都市局と副首都推進局の総人件費は計約68億円に上る。
維新は19年3月に法定協での議論が再び決裂すると、知事と市長の立場を入れ替えたダブル選で圧勝し、2度目の住民投票にこぎつけた。大都市局が設置された13年以降、首長選は14年の出直し市長選を含めて3回実施され、計約18億円が費やされた。
また住民投票関連の経費を巡っては、5年前が約8億1000万円。今回は住民説明会が8回のみで39回実施された前回より大幅に減ったが、新型コロナウイルス対策などで経費がかさみ約10億7000万円が予算計上されている。(毎日新聞 2020年11月1日)