愁眉を開く

師走の初日
豪雪地帯には 30センチを超える雪が降った
一方クラスターのつむじ風は 
おさまることを知らず 気の向くままに吹き続ける
医療従事者や福祉介護者を挑発し
賢明なケアを嘲笑(あざわら)うかのように
苦しみを容赦なく与え 死へと導く

病院 福祉施設 学校 職場
クラスターの発生は 160余件を数える
病に伏す人や老後を平穏に暮らす人や場を 果断なく襲う
旭川市の3カ所の医療機関は 医療崩壊の危機にあえぐ
札幌をはじめ地方の地域基幹病院も 逼迫する事態に陥る
ベッドを確保しただけでは 何の意味もない
看護する人がいないことが 問題なのだ
現場から 行政の対応に強い不満の声も上がっている

10月まで10人の感染者しかいなかった
札幌近郊のベッドタウンのマチ
11月 80人もの感染者を数えた
福祉施設のクラスターが 数箇所で発生した
職員の感染も目立ち PCR検査が実施された
施設内の濃厚接触者や家族の検査の結果で さらに広がる

介護の現場は 介護や看護の人手が不足する
離脱者が多ければ 助けられる命も危うくなる
近隣の施設から 要請を受けて職員を派遣する
彼らもまた 感染地帯に覚悟を決めて入ってゆく
利用者の苦しむ姿を見ながら 助けたい一心で
身体接触は避けられない リスクの高い仕事に 
互いの無事を祈りながら
心を添えて 献身的な介護に励む
今日の仕事を終えて 家族の元に
無事なただいまを告げて欲しい
報道以上に厳しい現実の中に立ち
明日もまた新たな覚悟で利用者に添う
 
いま感染リスクの高い職場で働く方々の
崇高な姿を想像しませんか 
命と暮らしが守られている事実に 感謝しませんか
そして
愁眉を開く日が 1日でも早く訪れることを
共に祈りましょう

※愁眉を開く(しゅうびをひらく):心配ごとがなくなって安心する。

〔2020年12月2日書き下ろし。なぜ道内のコロナ感染のレポートを続けるのか。何もできずに老いる者が。命と暮らしを守る人たちの奮闘の記録の一端になればというおもいからである〕

付記
北海道で”過去最多”14人死亡…206人感染 3日ぶり200人超 札幌141人
北海道内で12月1日、新たに新型コロナウイルスの感染者が10人死亡し、感染者があわせて206人確認されたことがわかりました。
亡くなったのは北海道発表分の60代と70代の男性と、旭川市の8人です。1日は札幌市で4人の死亡が発表されていてあわせて14人。1日の死者数としては過去最多で、北海道内での死者は、計208人となりました。
内訳は、北海道発表分26、札幌市141、旭川市37、函館市1、小樽市1人です。旭川市では新たにクラスターが2つ確認されています。
北海道内では、3日ぶりに200人台となりました。100人を超えているのは27日連続です。(UHB北海道文化放送 2020年12月1日)