北海道選挙区 自民党の衆院議員吉川貴盛
昨年の道知事選では党道連会長として
管首相の意中の候補 鈴木知事の擁立を主導した
9月の総裁選では 管選対の事務局長で仕切った
自民党の選挙対策委員長代行
二階派の事務総長の要職を担う
18年10月から1年 安倍政権では農水相を務めた
18年11月に200万円
19年3月に200万円 8月に100万円
大臣室で2回 ホテルで1回
鶏卵生産大手「アキタフーズ」が現金を渡した疑いが生じた
スキャンダルが あからさまになると 診断書が用意される
心臓に疾病を抱えていたと 言い訳しながら
先週不整脈で急遽入院とは タイミングが良すぎる
早々に要職の辞任も 手回しがいい
迷惑をかけたのは 党と派閥
札幌の支援者にではない
基幹産業の農水の関わる政治家が 懲りずに懐を潤す
事の発端は 19年の参院選広島選挙区をめぐる買収事件
6月東京地検特捜部は
衆院議員河井克行被告と妻の参院議員案里被告を逮捕した
7月アキタ社は 関連先として家宅捜索を受け 露見した
農業水産分野に影響力を持つ「農水族」の有力議員
18年11月 北海道で立件された太陽光発電システムをめぐる詐欺事件
その裁判で 関与が取りざたされていた
疑惑を そばにおいた議員だった
鶏卵業界は「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の視点から
日本のケージ飼育を否定し 国際機関の基準作りが進む
卵の価格が下がった時には 国が補助金云々も課題だった
アキタ社長は 業界団体のドンとして 面会時
「業界のために動いてほしい」と 現金を包む
利権と絡むのは 政治家の王道
文教分野は金にはならぬが
学術会議が兵器の開発に絡めば 話は別
厚労分野も医師会と薬が絡んで 不自由はしない
環境分野も水と核が絡めば 新しい草刈場
公共事業分野も 言うに及ばず外れなし
だから議員バッジは 終生外せない
崇高な志は すぐに金に換算されてなんぼのもんとなる
この決着
灰色にするには リスクが大きい
火の粉をかぶらぬよう 穏便に曖昧にして済ませたい
それが 不徳を続ける政治家たちの本音か
同じ穴のムジナは 司直の手が伸びることを警戒する
野党の追及に 得意の台詞がすぐ浮かぶ
「この件については現在捜査中ですのでコメントは差し控える」
議員の不始末 出処進退は個人に帰する
政界の断捨離は 誰も手がつけられぬ
〔2020年12月2日書き下ろし。謝る相手が違うでしょ。いつも議員先生の不祥事の度にそう思う。そしてコロナ禍で喘ぐ札幌の街に、政治不信の灰色の雪を降らす〕
付記
吉川元農相、自民党の役職辞任 疑惑受け、二階氏に伝達
自民党の吉川貴盛元農相は2日、鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表による自らへの現金提供疑惑を受け、党選対委員長代行など全ての党役職を辞めるとのコメントを発表した。「国会審議と党運営に迷惑を掛けたくない」との理由で、二階俊博幹事長に伝えたという。
先週、不整脈となり急きょ入院していると説明。「ご心配を掛けていることをおわび申し上げる。当局から説明を求められれば、入院中ではあるが、誠実に対応したい」とした。(北海道新聞2020年12月2日)