男は姑息な言葉で勝負する

哀悼の意に似た 
乾いた言葉の連続だった
視線の冷たさが
抑揚につぶさに表れていた

何を語っても 単調で無味だった
聞いていて 嫌気がさした
あきれた あきらめた 見限った 
無関心への誘導作戦は まんまと的を射る

何も変わることのない
ペーパー通りのしゃべり
いま言うことかと 政策掲げ自画自賛
具体的な対策を示すことなく
質問も淡々と消化する
緩慢さが その場の空気となる

記者会見で見た 性根の怖さ
政治家への不信を さらに深めた
コロナ対策への期待を さらに裏切った
社会不安を さらに強めた

自分の言葉を持てない男
崩壊寸前の医療現場の状況
国民生活の厳しさ
理解せずとも トップに留まる

自分の言葉で語れぬ男
その場しのぎの言葉で飾る
ヴィジョンも描けず 言葉に詰まる
だから時々机を叩き 脅しをかける

自分の言葉が貧しい男
桜もカネも学術会議も 他人事
「答弁を差し控える」
この一言で 責任負わずに全てを通す

自分の言葉を楽しむ男
平然と嘘をつくタイプから
ボロを隠すタイプへのシフト変更
どちらも 丁寧に誠実にスピード感を持って
国会軽視・国民無視・倒産黙認・大企業保護優先の轍を踏む

自分の言葉で自滅する男
「私の立場では…」では 誰も納得できぬ
危機管理意識の乏しい者たちと 群がりつるむ
仲間の失敗 いつかかばい切れずに瓦解する 

悪しき治政への想像力を働かせよ
亡国への道を 見境なく切り拓く
槌の音は 耳を塞がれた者たちには
なにも聞こえない
不気味に迫る暗闇が ひたひたと広がり
子どもらの未来を小さくする
ささやかな夢さえ奪い 
生きにくさを 無理強いする 

政治家の言葉に 惑わされてはならない
自らの言葉で語らぬ者ほど
自らの言葉を持たぬ者ほど
自ら発した言葉で遊ぶ者ほど
信用に足らぬことを わきまえよう
詭弁には 正しく「NO!」を突きつけよう 

政治の束縛から解かれよ
ストップするのは 賢明な民意
庶民を語る欺瞞を 叩かねば互いに覚めない
覚醒した者たちが いま声を上げる
メディアも心して 核心をついて
悪しき政治と卑しき政治家らと 対峙せよ

〔2020年12月6日書き下ろし。本当に表現しにくい政治家である。裏の顔を暴露できないストレスが溜まる一方、危うさが纏わり付く〕

付記
国語学者・金田一秀穂さんが読む首相の「姑息な言葉」すり替えと浅薄、政策にも
「総合的・俯瞰(ふかん)的」「多様性」「バランス」「既得権益」…。日本学術会議の任命拒否問題を巡っては、菅義偉首相が抽象的なフレーズを繰り返す場面が目立つ。具体性を著しく欠いた国のトップの説明は、日本語の専門家にはどう映っているのだろうか。
国語学者の金田一秀穂さんは「本来的な意味での『姑息』(こそく)」と指摘し、政権が打ち出す政策にも相通ずるものがあるとみる。菅さんは抽象的な言葉が多い印象です。どう見ていますか。
◆あまり考えた発言とは思えないですね。その場その場をしのげればいいと思っているんでしょう。(学術会議について)「女性が少ない」とか「私立大所属が少ない」「既得権益」とか、思いついたことをとりあえず言っている感じですね。これらは中身を伴わない、何の意味もない言葉です。「何も考えていないんだろうな、この人は」と思いますね。ポリシーがあって言っているわけではないことが分かってしまう。
つまりは姑息なんです。姑息は「ひきょう」という元々なかった意味で使われることが多いですが、本来の意味は「その場限り」。菅さんはその場限りの答弁を繰り返して当座をしのぎ、いずれ国民が飽きて聞く気がなくなるのを待っているんでしょう。(後略)
(毎日新聞2020年12月6日)

菅内閣の支持率が急落、50%に コロナ対応「評価しない」55%
共同通信社が5、6両日に実施した全国電話世論調査によると、菅内閣の支持率は50.3%で、前回11月から12.7ポイント急落した。政府の新型コロナウイルス対策は「評価しない」が55.5%。感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか尋ねたところ「どちらかといえば」を含め「感染防止」を挙げたのは計76.2%に上った。「桜を見る会」疑惑を巡り、安倍晋三前首相の国会招致を60.5%が要求。57.4%が政府に再調査を求めた。新型コロナ対応を「評価する」は37.1%で、11月の前回調査から賛否の多数が逆転した。回答は固定電話524人、携帯電話519人。(共同通信2020年12月6日)