えへで 泣ぐんたな
泣き顔(つら)くぁして 泣ぎ声(ごえ)ば出すこのいっとぎ
顔(つら)こひしゃげで 流す涙顔(つら)こ
めごいなぁ
ちっちぇーまなごど にらめあい
じへっど顔(つら)こ見でれば 泣ぐべがど思(おも)たこのいっとぎ
にまらっと わいはのほほえみけし
めごいなぁ
こちゃこいってへば どすべがど
ゆったど両手ば伸ばし 抱(だが)さってきたこのいっとぎ
やっこして 香(かま)りっこえー顔(つら)っこ
めごいなぁ
さじば自分(ふとり)で持づど ごんぼほって
口(くぢ)のまわりば のったど散(ち)らがすこのいっとぎ
どだばど にったどして
めごいなぁ
何(なだ)がさわがね 声っこ出して
指(ゆび)っこさす方(ほ)さ 目っこ向かせ
こいだなっておもちゃば 取(と)てやたこのいっとぎ
んでねんでねって 頭(あだま)っこふるふぐれっ顔(つら)っこ
めごいなぁ
裸(はだが)っこで 湯(ゆ)こさ入って
湯(ゆ)こかまして 悪(わる)さばするこのいっとぎ
にまにまど笑う 赤(あげ)ぇ顔(つら)っこ
めごいなぁ
めごくて めごくて
たんだたんだ めごくて
包(つづ)みこまれる 命このぬぐだまり
めごくて めごくて
たんだたんだ ありがてなぁ
包(つづ)みこむ 二人(ふだり)の深(ふけ)ぇ慈しみ
命こあるうじ 一緒(いしょ)じに行くべ
〔2021年1月29日。白神山地ブナ林再生事業に取り組む日本山岳会青森支部の須々田秀美氏は、97年春日本ユニセフ協会の事業で共にベトナム北部を旅した20年来の友人である。青森県平川市に在し、弘前弁で「めんこいしょ」を表現する。津軽弁でも太宰の故郷とはまた違う風情が醸し出されている。ご鑑賞ください〕