心がざわついて 落ち着かなかった
波打つように 怒りが襲ってきた
身もだえするように 苦しみが覆ってきた
いのちの危険は 何もなかった
暮らしにも 何も問題なかった
ただ心がざらついて 行き場を失っていた
身に降りかかったことではなかった
家族に降りかかったことでもなかった
社会の苛立ちが ストレートに心に刺さった
他人の考え方には 干渉できない
公人の間違えは 世間の批判に晒される
世の中を牛耳るとなれば なおさら厳しい
嫌なものを見せつけられて 心が疲弊した
手出しできないものを見せつけられて 心が縺(もつ)れた
許しがたきものを見せつけられて 心が軋(きし)んだ
社会的な排除を求めたということ
目の前からその存在が消えるということ
余計な混乱を招かないとわかったということ
権力への社会的な浄化作用は グローバル化し
古習の感溺は 廃(すた)れていく
権力者には 心穏やかなことではない
信頼と求心力を失うことで その地位を奪わる
虚言と尊大な言動が 世の不幸を生じさせてきた
心の凪は 自由と尊厳の意思から生まれる
心の凪は 公平と平等の行動から生まれる
心の凪は 科学と叡智への信頼から生まれる
心の凪は 人と政治との正義から生まれる
心の凪は 次の嵐を予感してざわつき始めた
権力構造は崩壊せず 陰で操る見え見えの隠謀
またまた 見たくもない茶番劇を見せつけられる
心の凪は 一時にしか過ぎなかったのかと
ひとり 臍(ほぞ)をかむ
※古習の感溺(こしゅうのかんでき):福沢諭吉の言葉。古くからの習わしを古いというだけの理由で当然視し、それに溺れて正しい判断に戸惑うこと。(辞書を引いても正確な読みがない)
〔2021年2月11日書き下ろし。米の権力闘争は泥沼化状態。日本でも心の凪を求めるムーブメントが世界中で起こり、容認されない日本人の思想性が暴かれるが、その権力構造は盤石であることを後で知ることになる〕