傘寿プラスワン

去年3月 傘寿を迎え自分史『邂逅』を出版した

5月 2度目の脳梗塞は1ヶ月で快復した
退院後 右手の感覚に違和感を覚えた
筆をとり「検証」と書した
納得しないまでも 次の本の内表紙を飾った

6月 今世紀最大のパンデミックの渦中で
老人福祉の現場は いかに感染を防いでいるのか
厳しい環境下に晒されながら 奮闘する介護職員
コロナ禍に挑む いのち護る者たちが
どのように いまを乗り切ろうとしているのか
ドキュメンタリー風に描き その取り組みを検証した
そこには リスクゼロに挑む職員の真摯な姿があった 
老人たちに 誠心誠意尽くす笑顔と思いやりがあった
感動と感謝を込め 10月『検証』を発刊した
妻の傘寿に間に合ったことが 嬉しかった

9月 施設の中庭に地蔵菩薩を建立した
コロナ収束の願いと 職員への激励と感謝を込めて
「和顔愛語地蔵」と命名した
浄土真宗の僧として「南無阿弥陀仏」と念仏し開眼した
いま雪を載せた笠をかぶり 静かに見守る
その地蔵の柔和な表情に ただただ癒やされる

今年1月 最初に開設した盲老人ホームが50周年を迎えた
児童施設から老人施設への転職は 未知の世界だった
全盲の女性を指導員に据えて 1から共に暮らすことを学んでいった
当たり前の暮らしの実現に ひたすら尽力した
利用者の施設内結婚も 普段の暮らしの風景に過ぎなかった
石狩川が氾濫した二度の大水害は 悲惨な経験を無理強いした
支援ボランティアの存在は 終生忘れることができなかった
だから 施設を拠点とした地域福祉と福祉教育に邁進した
市民を巻き込んだ 新たな福祉の世界を切り拓いていった

1月末 次年度の法人の運営体制について抱負を語った
法人50周年を迎える来春 次世代への継承を決めた
どのように これからの厳しい時代を乗り越えていくのか
福祉の理念として抱いてきた「和顔愛語の心」を視座に据え
今までの法人経営のあり方をふり返り 次の50年を見据える
来春『希求』と題して 世に問うつもりだ
 
激動の1年だった
これから1年 まだ為すべき事がある
「わがはからいにあらず」(なるようにしかならない)
「しかし おのずと必ずなるべきようになるのだ」
老いを甘受しながら「南無阿弥陀仏」と念仏する
「他力本願」(他人依存ではない)の真の力を解す

3月3日 81歳を迎える

〔2021年3月2日書き下ろし。師の誕生日に贈る。その後ろ姿を追いながら同行したい〕