説経を垂れる

なんの信念もない つまらぬ小言を
どれだけ 不用意に垂れ流してきたことだろう
その場しのぎの 思いついた小言を
どれだけ 説教がましく押しつけてきたことだろう

子どもの失敗を叱責する
子どもの過ちを正す
子どもの諍(いさか)いを諫(いさ)める

さも知ったかフリして
聖人君子のごとくのたまう
さも心得てるフリして
身の程知らずの訓示を垂れる
さも正義を貫くフリして
校則盾に不都合を問い正す

指導に名を借りて
こんなアピールしかできぬ小心者
指導とは名ばかりの
これ見よがしの偉そうな態度
指導に託(かこつ)けた
ここぞとばかりのストレス発散
指導とは縁遠い
ここが一人芝居の独壇場(どくせんじょう)

叱られる子どもらは
判ったフリして聞くしかない
またかとばかり子どもらは
言動不一致を見せつけられる
巻き添え食らった子どもらは
心に響かず不信を募(つの)らす
迷惑至極の子どもらは
無用な我慢をただ強いられる

説教は 己の心の拙(つたな)さの自己認識
説諭は 己の身にふりかかる自己欺瞞
教訓は 己の人生を導く自己開示
内省は 子どもから付与されることに心せよ

〔2021年3月5日書き下ろし。師と説教について話題になった。猛省の時間となった。いまさらの悔恨である。ただ、校則を後ろ盾に正義漢ぶる教師ではなかった。それほどやわではなかったことは確かだ〕