人の欲は 底なしの淵
支配欲 出世欲 愛欲 物欲 利欲
凡夫ゆえに 強まる欲望
ひたすら 貪欲に求め続ける
人の欲は 満たされぬ器
私欲が過ぎて 乾きを促す
凡夫ゆえに つのる執着
おもむくままに さらに求める
罪深き凡夫の 血走った眼
強欲を隠しきれない 傲慢なふるまい
人を踏みつける 尊大な応対
人を妬み恐れる 小心者の強がり
少欲知足は 虚心坦懐の境地
少欲に甘んじ 断ちたい執着
知足をもって ありたい心境
虚心坦懐の境地を求めるがゆえの
そうはならぬ葛藤に 身を焦がす
それはまた 得がたい心境への
凡夫の尽きぬ 欲望なのか
※虚心坦懐(きょしんたんかい):心になんのわだかまりもなく、平静な態度で事にのぞむこと(さま)。
※凡夫(ぼんぷ):平凡な普通の人。凡人。〘仏〙仏教の真理に目ざめることなく、欲望や執着などの煩悩に支配されて生きている人間。異生(いしょう)。
〔2021年3月8日書き下ろし。尽きぬ欲望の淵を覗くと醜い己の顔が浮かび上がってくる〕