老爺心お節介情報/第3号(2020年6月29日)

「老爺心お節介情報」第3号

Ⅰ 一般財団法人長寿社会開発センター『生きがい研究』第26号(令和2年3月刊)

「独居高齢者の社会的孤立の課題と予防方略における精査の検討」
田高悦子(横浜市立大学病院医学研究科地域看護学分野教授)
「都営住宅における高齢者が感じる孤独死の不安と孤立化の現状に関する研究」
福島忍(目白大学人間学部人間福祉学科准教授)
「高齢者の社会関係と生きがいとの関連を改めて考える」
澤岡誌野(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団)

高齢者の孤立の問題、一人暮らし高齢者の生活支援のあり方、介護予防等の施策が進められているが、どうみても縦割り行政である。地域福祉関係者はもっと市町村の社会教育の動向、保健分野の介護予防の動向に関心をよせ、出来れば一体的に取り組む可能性を探っていく必要がある。
私は、1985年に『高齢化と教育』(中央法規、室俊司共編)で、“高齢社会を共に生きる”ためには、教育、社会福祉、保健の横断的対応、世代交流を含めた対応の必要性を指摘したが、研究関心、実践動向はその当時より“縦割り”になっていないか。
また、1992年に「高齢者の生きがい対策に関する調査研究」(調査主査・千葉和夫日本社会事業大学教授)を行い、高齢者の生きがいと社会参加の重要性を論じている。
更には、1994年に東京都議会事務局の『調査資料77』の資料作りを担当し、かつ「高齢者の健康・生きがいづくりと地域自治体の役割」を執筆し、社会福祉の自立概念の再検討、「第3の人生」のライフ、福祉コミュニティの形成における高齢者の役割等について論述した。
1990年前後における“高齢社会対応策”に比し、今日、地域共生社会づくりといわれながら、地域福祉分野での論説は“視野が狭すぎる”のではないか。上記に挙げた文献の内容には必ずしも賛同しないし、評価もしないが、地域福祉関係者の視点を拡げておくためにもそれらの文献にも“目を通す”必要があるのではないだろうか。

(2020年6月29日記)