「老爺心お節介情報」第4号
Ⅰ 令和元年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
『介護ロボットの活用に向けた人材育成に関する調査研究事業』報告書
『介護ロボットを用いた介護サービスの質向上と業務効率化の指導――「介護ロボット・ICT使用コンサルテーション人財」のための教育ガイドラインーー』
社会福祉法人 善光会 令和2年3月
社会福祉施設に介護ロボットやリフト等の福祉機器をやみくもに導入しようとしてもうまくいかない。社会福祉施設自身が、業務の改善、品質向上への取り組みを行う中で、その課題に即した介護ロボットや福祉機器を導入した場合にはうまくいくということが事例を踏まえて書いてあります。
Ⅱ 『新版 隣保館運営の手引き』(全国隣保館連絡協議会発行、2018年9月)
同和地区、被差別部落と言われている地区において、コミュニティソーシャルワークへの関心と取り組みが始まっています。同和地区、被差別部落の地域改善の拠点になる隣保館の法的根拠や歴史、運営の指針等が良くまとめられています。、
Ⅲ 『高校福祉科』――資料の問い合わせ先 一般財団法人社会福祉研究所
「新学習指導要領に基づく福祉系高塔学校の教育実態に関する調査研究」、同ダイジェスト版
「福祉系高校を知る5つのポイント」
高校福祉科生徒の介護福祉士国家試験合格率87・8%/高校卒業後の就職先は、介護福祉現場が90・1%/就職者の地元就職率は90・3%/福祉・介護福祉・医療分野への就職定着率は82・7%/高校生の介護実習を受け入れた施設の86・2%が受け入れて良かったと回答。
※寸感(他人の土俵に乗って、相手の領域の問題で相撲を取れるように、意識して努力せよ)
救貧的な社会福祉制度に基づく支援を行っている際には、左程他の分野の動向に関心を寄せることなく、社会福祉制度に関わる政策をウオッチングしていれば、実践も研究も事足りた。この歴史が長かったので、今でも社会福祉学研究者、実践者の中には、社会福祉政策との関係だけで物事を考えている人が多い。
1980年代半ば、私は社会福祉研究者、実践家、社会教育研究者、実践家は“出されてきた政策には敏感であるが、政策が出されてくる背景には鈍感である”という指摘をしてきた。私は“出されてきた政策に敏感になるのは当然であるが、それ以上に出されてきた政策の背景に敏感でなければならない”と考えてきた。
しかし、いまや社会福祉は地域での自立生活支援を目的とするソーシャルワーク機能を展開する時代である。かつ、社会福祉政策も「地域共生社会」を創造するという社会哲学、社会システム、地域創生に関わる政策になってきている。
このような状況の中では、社会福祉学研究者、実践家はよほど関心と交流のウイングを広げないと時代に対応していくことができない。
私の恩師の小川利夫先生は、私に対し、視野狭窄、タコ壺論者と良く叱り、“他人の土俵に乗って相撲を取れるようにならなければ一人前とは言えない”といい、自分の土俵に相手を連れてくるのではなく、他人の土俵に乗って話ができるように、意識して広い他分野へ関心を持つ事を奨励した。私は、当時、自分の分野さえもカバーできないのに、他分野まではとてもと思いつつ、他人の話題に付いていこうと背伸びをしていた時期があった。
今の「地域共生社会」政策時代にあっては、地方自治論、地域経済論、都市計画論、社会システム論等の知見や研究動向も踏まえなければならない時代になってきている。
そのような中、“地域福祉”関係者は、必ずしも社会福祉施設関係者と連携、協働ができていたとは言えなかった。ここにきて、社会福祉法人の地域貢献の急速な展開の中で、社会福祉施設関係者と連携、協働が求められているが、“地域福祉”関係者はどれだけ社会福祉施設、施設を経営する社会福祉法人の状況を理解しているのであろうか。
社会福祉法人の地域貢献を声高に言うのではなく、施設法人が現在どのような課題に直面し、苦労しているのかを真摯に、謙虚に学びながら施設法人と社会福祉協議会、民生委員とが協働することが「地域共生社会」政策の具現化に繋がることになる。
(2020年7月14日記)