聖火が走る

東京五輪の聖火リレーが 福島県を起点に始まった
世論の盛り上がりを欠く スタートになった。
そもそもは 国威発揚のために ナチスドイツが始めた
戦後は 平和の理念を継承するセレモニーとなった

エンブレム盗用疑惑
ベルギーのデザイナーが 自作を盗作されたとして訴訟を起す
国立競技場案の白紙撤回
設計デザインが 多額の建設費用がかかるとの批判を受けた
JOC会長竹田恒和の招致疑惑
マラソン会場の札幌移転では 札幌が謂れない批判を受ける
誘致運動に尽力した者たちの 不名誉な退陣
挙げ句の果ては 組織委員会長森喜朗のジェンダー騒動
全く収まる気配のないコロナ感染が 追い打ちをかける 
さらに厳しい経済不況に 暮らし向きはよくなる兆しがない

東日本大震災からの復興と コロナに打ち勝った証しと吹聴したが
IOCと放映権をもつNBCの 一蓮托生の利権に巻き込まれ
開催しかカードはなかった それだけのこと
東京五輪は 目的も廃れ汚点も暴かれ 何もかも冷え込むばかり
世界の開催への期待感も 果たしていかばかりであろうか

五輪の聖火に 希望を託すにはあまりにも心許ない
お祭り気分を味わうには 違和感ばかりでほど遠い
聖火は 47都道府県をめぐる(島根県はパスか)
約1万人のランナーがリレーして 7月23日の開会式で点火される
その予算と動員する人員も半端ない
とんでもない税金が 泡銭のように消えてゆく

開催の社会環境の条件のひとつ
コロナ対策としてのワクチン接種
ワクチンの確保や接種時期 対象の決定などが論議されるが
誰が注射を打つのか その人員の確保がままならない
職種規制で 医師と看護師しか認められていないのだ
日常の医療を差し置いて 人員を確保するなどありえない
開催までの接種人口は いまだ未確定

札幌では新規感染者の増加に加え 変異株が感染拡大をうかがう
27日から来月16日まで 外出・往来自粛が要請される
全国も解除後1カ月足らずで 同じ轍を踏むことだろう
そのとき 聖火リレーも立ち止まるしかない
国民の不安の火種では 聖火は灯せぬことを知る

それだけのことを 知らせるために
聖火は 規制された沿道を走る
 
〔2021年3月26日書き下ろし。心寂しい限りの聖火リレーの風景。ドン詰まる気配を感じざるをえない〕