春になる

ブルーベリーの雪囲いをといた
毎年大きな実をつける 唯一の果樹
去年は 花は咲いたがすぐに花心から落ちた
絨毯のように 白い花びらが広がった 
なぜが 苦かった

ブルーベリーの枝の先には 新芽がいくつか出ていた
去年は 古い枝がずいぶん枯れた
根元から生えた若い枝が 芽吹いている
なぜか 嬉しかった

白いクロッカスの花が 一輪可憐に咲いていた
妻が 花壇の煉瓦のそばに見つけた
我が庭の 従来種ではない
そっと花壇に植え替えて 風に当たらぬよう囲った
種は 3階から舞ってきたものと推察された
来春の楽しみが 一つ増えた
3階の友人に 感謝を伝え共に喜ぼう
 
春一番の楽しみは クリスマスローズ
2つ 芽を出している
咲くまでには まだしばらくはかかりそうだ
その間に5種類の紫陽花が 一斉に芽を吹く
足下では 苺が緑の葉色を枯れ葉の下からのぞかせる
シャクナゲの 色濃い緑の光沢ある葉は
茶色い庭の風景に 精気を満たす

雪に押しつぶされたラベンダー
枝を四方に だらしなく倒していた
娘が買ってきた一鉢は いまでは多くの古株に成長した
その古株を 裏から支えを入れて矯正する
下手をすると枝がすぐに折れる
だから 芽吹くまで様子見となる

ハーブ系は8種類 そこら中に生えている
害虫避けと香りを楽しむのに 買ってきた
ミントは これからが楽しみだ
ハーブティーの定番は 若葉に限る
妻と二人で 初夏の風に味わうのがいい

また春が来た
猫の額ほどの〈はたけ〉に何を植えようか
ゴーヤーは 去年苗を買い損じた
だから 今年は外さぬよう心したい
去年の枝豆は よく実をつけた
だから 今年も必ず蒔く
中玉のトマトは いつもよく実る
だから 今年もソースを作りたい

春から始まる土いじりに
ひと坪農民の血が騒ぐ

〔2021年4月2日書き下ろし。妻が方々から飛んできた落ち葉をゴミ袋4袋に集めた。その後を引き継いで半年ぶりの庭作業となった〕