奪い合うより分かち合う

11日 札幌では75歳以上27万人の高齢者に
ワクチン接種券の郵送が始まった
19日から 電話やインターネットで予約を受け付ける
24日から 接種が開始される

80歳の高齢者 88回電話した
つながらないからあきらめた
別の70代の高齢夫婦 ネットでゲット
接種券 馬券のように一喜一憂する
このマチの一回目の接種が終わった
二回目の予約は また別途するよう指示された
期限付きの二回目接種 また予約するのか
なんだこれと その対応に怒りさえ覚えた
数ヶ月もかけて準備してきたことなのかと
いまさらながら 役所の緩慢なやり方に呆れるばかり
接種会場のシミュレーションは どこでもやってる
問題は 接種券の配布の仕方と予約の方法
我先に安心したいのは人の情
ネットは使えず電話もつながらずでは 取り残される
焦って窓口に行けば 締め切ったとの事務的応対
次がくるまで待てる まだ元気な高齢者

地域包括支援センターは 高齢者の情報は豊富だろう
地域包括ケアシステムを 盛んに整備してきたのだから
在宅サービスを受けている高齢者の情報も 当然把握してる
施設入所者へのワクチン先行接種は 各地で見られた
在宅ケアを進めてきた介護保険制度なら 
利用者への優先的接種を進めても 文句は出まい
介護する家族への手厚いサポートも 評価されるだろう
行政の公正公平の原則は 予約受付で不公平を生み 
福祉と医療の認識は ズレまくる

東日本大震災後 被災地で自転車のニーズが千件あった
全国から五百台が集まった
千台集まるまで 数ヶ月間野ざらしにされた
その事態を役所の職員は 誰もが静観していた
市民から批判を受けて 担当者は言い放った
「一斉に渡さないと不公平だから」
車のない自転車を待つ人は 仮設住宅から歩いて用足しをした
そのしんどさを想像できない者たちが 公正公平を平気で口にする

ワクチン接種も 丸投げ同然に自治体に方法が委ねられた
支給量との見合いで 年齢制限や身体・生活状態に配慮する
そんな判断があっても しかるべきだろう
一斉通知と予約のシステムが 正しいとは限らない
福祉は 時に不公平でなければならないこともある
実生活から 納得づくで福祉を学ぶ機会となる
福祉は 時に寛容を促し啓発していくこともある 
様々な施策から 福祉の視点で学ぶことでもある

7千万人から8千万人 ワクチンを接種しなければ
来春も繰り返されると 警告された
奪い合うよりは分かち合うしか いまはない
ワクチンは 早い時期に充足されるという
政府の信用ならない口約束を いまは信じるしかない
だからもうしばらく 番が来るまで待つとしよう
 
〔2021年5月11日書き下ろし。この状況下で外に出る仕事がキャンセルされた。接種するまで迂闊に札幌からは出られない。いまは行政の指示を待ち協力するしかない〕

「ワクチン広がらないと来年今ごろ…」山中教授の指摘
京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授が、新型コロナウイルスの終息に向け、「できるだけ早くワクチン接種できるような状況に、総力を挙げてもっていけるかどうかにかかっている」と話した。
山中さんは「ワクチンの論文など、できるだけかみ砕いて発信していきたい。ここでワクチン接種が広がらないと、来年の今ごろまた同じことを繰り返している可能性があると思う」と語った。
「終息に向かわせようとすると、7千万、8千万人は接種を完了させないと、目に見えた効果はないと思う」と指摘。2回接種を想定すると、1億6千万回を感染が広がりやすい冬までに済ませる必要があるとして、「ものすごい数が必要。それを本当にやる覚悟を思って今日本ができるかどうかっていうことが試されている」と話した。
iPS研と、山中さんが理事長を務める京都大学iPS細胞研究財団では、「コロナファイトプロジェクト」として、所属する10人以上の研究者が本来の研究テーマに加えて、コロナ関連の研究を進めている。…(朝日新聞2021年5月6日)