分かる瞬間がいい

モヤモヤしていた
考えても考えても 答えが見つからない
寝ても覚めても 気にかかってしかたない

小骨が喉に刺さっている気分で 気持ち悪かった
すぐに 差し障りのあることでもなかった  
他人(ひと)には どうでもいいささいなことだった

いつか気にかけなくなって 忘れていた
何気ないことから 不意を突かれて答えが現れた
なんだこんなことだったのかと スッと納得をした

気がかりだったことが分かるということ
諦めかけていたことが分かるということ
理由(わけ)もなく分かった瞬間がいい

自分のたわいなさが分かるということ
自分のこだわりが分かるということ
それでも分かった瞬間がいい

イライラしていた
考えても考えても よくわからなかった
どうしたらいいのか 不安が募った

他人との つながり方だった
気持ちが 相手に伝わらなかった
ひとりぎくしゃくしてるのが 悔しかった

つながりを 切りたくなかった
何気なく悩みを つぶやいた
なんだ そんなことかと笑顔が返ってきた

自分の思い込みの強さが分かるということ
相手の懐(ふところ)の深さが分かるということ
その違いが分かった瞬間がいい

自分のことが分かるということ
相手のことが分かるということ
どちらも分かった気になる瞬間がいい

〔2021年6月15日書き下ろし。たわいないことで誤解は生じる。突然訪れる「分かる」という瞬間がいい。「分かり合う」はその先にある〕