小さな抵抗

五輪を開催すれば 風向きが変わる
日本国民は単純だから すぐに五輪に熱中する
これまでの嫌なことは 全部忘れてしまうだろう

コロナのしんどさをぶっ飛ばす 強力な忘却剤
信奉するスポーツの力で 歓喜に誘う強烈な興奮剤
ぼったくられても 笑顔でおもてなしする洗脳剤
祭りの後に飲まされる 現実回避の覚醒剤

支給された薬を並べて観戦すれば
IOCと国の術中に 見事にはまる
興奮モードを全開し みな魂を抜かれる

今日は天国 明日は地獄 
市中のコロナは 猛威を振るう
緊急事態宣言どころか 最悪の事態に打つ手なし
インド変種がまん延し 誰も責任は取らず
能面みたいな顔を揃えて なすり合う 
感染した選手は 国を相手に即刻訴訟を起こす

強欲傲慢なIOCの幹部は 血税を湯水の如く浪費する
悪夢の始末に借財抱えるのは 侮辱された弱き者たち
悪因悪果の責めを負うのは 逆らわぬ心優しき者たち
悪衣悪食を約束されたのは お人好しの罪なき者たち

五輪経費は 総額1・6兆円にまで膨らんだ
「平和の祭典」の名の下に おぞましい搾取は懲りずに続く
いのちと暮らしを脅かす祭典を 諸手を挙げては楽しめない

〈わたし〉にできる 小さな抵抗
物わかりのいい人のふりは 決してしない
提供される薬剤は破棄し 全ての競技観戦を断つ
俯瞰剤を飲み 開催中の出来事に注視する

〔2021年6月24日書き下ろし。五輪への小さな抵抗の決意表明。水際作戦など強行突破され、バブルも見事に弾けるだろう〕

付記
隔離免除の特例入国 感染者さらに4人判明、計6人に 東京五輪
東京オリンピック・パラリンピックに参加するため日本に入国した外国の選手や関係者のうち、新型コロナウイルスの感染が確認された人は、ウガンダ選手団の2人のほかに4人いることが判明した。内閣官房が毎日新聞の取材に明らかにした。
内閣官房によると、入国後に感染が確認された選手や関係者は、2月にフランス1人、4月にエジプト1人、5月にスリランカ1人、6月にガーナ1人、ウガンダ2人。多くは来日直後の空港検疫で確認されたが、スリランカ1人は入国5日目、ウガンダ2人のうち1人も入国5日目に判明した。(毎日新聞 2021年6月24日)