祝祭の後の反動

76年を迎える広島原爆の日
「黒い雨」被害者の早期救済を求めたい
犠牲になられた御霊に 合掌

五輪開催は 正解だった
日本人の五輪好きに 命運を賭けた
メダルで沸き立ち 想定外の活躍が胸を熱くした

五輪開催は 祝祭だった
批判は 見当違いだった
メディアは競って 国威を発揚した

五輪開催は 政治的判断だった
政権は 支持率浮上を狙った 
政治家は 有利な選挙戦を狙った

五輪開催は 政治の信頼を失った
政権は リスクの説明を拒否し続けた
政治家は 泥船からの脱出を画策し始めた

五輪開催は スポーツイベントだった
自制は効かず 熱闘に浮かれて外に出た
規制に慣れて 危機意識はぶっとんだ

五輪開催は 人流を全国に引き起こした
デルタ株は 間隙をぬって進撃を開始した 
症状の軽重は いのちの選別をする事態を招く

祝祭の歓喜は 瞬時に忘却の河を流れて
日々の鬱陶しい日常が 戻ってくる
祝祭の最中に 失政挽回の舵を切ったが
医療現場も保健所も介護者も無視した 愚策だった
祝祭の後に残る心の澱は 積もるばかりで
深い懺悔と憤怒の やるせなさとなった
祝祭の後の政権は 与党からも支持を失い
見たこともない地平線で たじろぐしかなかった

〔2021年8月5日書き下ろし。命の選別が始まった。貧富の差が命の値段となる。犠牲者が出ないことをただ祈ることしかできない〕