15日 アフガニスタン政権が崩壊した
反政府武装勢力タリバンは 首都カブールを奪還した
異教徒を敵視する 過激なイスラム原理主義の武装集団は
米軍が撤退を宣言したわずか4ヶ月で アフガニスタン全土を掌握した
米国のアフガン介入は 莫大な金と人命を失い失敗に終わった
戦争は 撤退が最も危険であることをまたもや繰り返した
ベトナム戦争のサイゴン陥落を 彷彿させる映像に見入った
カブールの国際空港に 国外脱出を図ろうと数千人が殺到した
離陸直前の米軍機に駆け込み 中東カタールに脱出した人もいた
離陸直前の機体にしがみつく人や 離陸後機体から振り落とされた人もいた
恐怖が迫り死に物狂いで脱出を試みる凄惨な事態は SNSで世界に拡散した
タリバンは家を焼き払い 婦女子への暴行を加え進軍してきたという
何十万人とも見込まれる難民は 一体どこに逃げていくのだろうか
山岳地帯のアフガンの民は ボートピープルにはなれない
多くの辛酸を嘗めてきた民は 他国の支配や宗教に翻弄され
いままた 砂埃の中で行き場を失う
タリバンの新たな集団殺戮が 始まる予感がする
逃げ惑う子どもの涙が乾いた後には
その子にいったいどんな運命が待っているか
カブールの壁に描かれた中村哲氏の肖像に添えられた言葉
「大地に優しさや愛の種をまくのはいいが問題の種をまいてはいけない」
不毛な大地に緑を甦らせた男は 人間への限りない愛と国土再興の夢を描いた
その夢を打ち砕き殺したのは 紛れもなくタリバンなのだ
人間はどこまで残酷非道になれるのだろうか
タリバンに与する者たちが いま問われる
「人間らしさはどこからくるのか?」
〔2021年8月18日書き下ろし。隣国パキスタンも大きな影響を受けるであろう。中国、ロシアが触手を伸ばす。不気味に血糊の風が吹く〕