たくさんの夢を見た
みんな藻屑となった
忘れられて過去となった
見果てぬ夢は追っ手を阻んだ
みんな露と消えた
捨てられて過去となった
叶わぬ夢と知らされた
みんな失望となった
破られて過去となった
突然夢のかけらが舞った
あのときの情熱のかけらだと知った
まだくすぶっていた過去の断片
出し抜けに夢のかけらが語り出す
あのときの一途なおもいだと知った
まだ消されぬ青春の断片
慌てて夢のかけらをかき集めた
あのときの生き様が現れた
まだ残り火が灯(とも)る人生の断片
置いてきぼりにした夢のかけら
力なく心折れた青春の夢の残骸(あと)
忘れるしかなかった青春の蹉跌
そのかけらすら愛おしい
そのかけらに映るふたりの人生模様
伴侶に人生悔いなしかをいつか問おう
〔2021年9月27日書き下ろし。人生の同伴者と歩き続けた老齢のいまを、夢のかけらが映しだす〕