団塊の世代の介護に備えを

団塊の世代
戦後の経済を動かし豊かにした
稼ぎは自家用車となり持ち家となった
結婚率も高かった
子どもの教育にも熱心だった

熾烈な競争化時代を生き抜いた戦士たち
現役を引退し老いとの戦いに挑む
夫婦が人生をかけて快適な空間にした家
夫婦で共に支え合い老いながらえる家
夫婦で病み暮らす時にはリフォームも厭わない
介護用ベッドの導入を想定して部屋を直す
最期の願いは在宅死しかない
だから看護と介護の在宅ケアは必然となる

団塊の世代の生き方
快適な生活を送ることを優先した
消費社会を先導し国内需要を高め生産力に貢献した
電化製品は最新のものにすぐ手を出した
車の買い換えも積極的だった
パソコンはお手のもので情報化社会の先端を走った
仕事も遊びも旅行もエンジョイした
トイレのウォシュレットは当たり前だった
今夏の異常な暑さでクーラー需要はさらに増す

果たして在宅で最期を迎えられない人も出てくる
老人施設は団塊の世代を受け入れる準備をすでに始めていた
介護保険制度が始まり個室化はそのための環境整備だった
問題は快適な自宅から出されて施設に入ることへの抵抗だ
自分の意思で入所することはまずない
家族の意向が優先する

クーラーもないウォシュレットもついてない
道内の介護施設の多くはそこまで完備されていない
認知症を患っていても五感で快適さを実感する
寝たきりになっても五感で暮らしを実感する
時代を変えてきた団塊の世代が入所し始めると
介護施設の働く環境も大きく改善される
団塊の世代はクオリティオブライフの物差しで評価する
選ばれる施設になるためにも備えを怠ってはならない
いまから準備しなければ間に合わなくなるだろう
措置から契約への施設経営の根幹が問われている

〔2021年10月15日書き下ろし。昨夜施設職員を10人集めた座談会を参観した。クーラーとウォシュレットが話題になった。団塊の世代には深刻なQOL問題となる〕