小さな社協の話を聞く

事前に郵送された今年度の社協事業計画書
事業一つひとつの実情や課題が
小さな文字で書き添えられていた

同席した友と三人で事業計画をチェックする
たった二人のスタッフで回してきた多くの事業
こなすだけで精一杯の現状に心が痛んだ
事業の改善を声に出してもいつの間にか立ち消えた
見直しも不完全燃焼のまま既存の事業が続いてゆく

資料の中の理事の数に目がいって驚いた
当初から自治会の協力を得ることを前提に16地区から出してきた
評議員も一時40人を数えた時代もあったという
理事・評議員で現在も40名近い
自治会役員のあて職となってきたことで
理事会の運営もしんどかったに違いない
組織そのもののスリム化と再構築が求められる
幸いにして理事の半数は役場OB
行政職にいた人ならば納得すれば行動は早い
事務局の改革提案では弱く無理である
理事の中にもおもいを持つ人はいる
数人固まればきっと力になる
友はそう助言した
理事者との共同改革の始まりを示唆する

事業計画の基本目標
特色のない一般的な目標である
果たして実質が伴っているのだろうか
計画につながる事業の実態を聴き取った

基本目標1 住民参加を主体とした地域福祉の推進
マチの産業祭に参画したふれあい広場
社協のPRの機会と祭りの賑わいづくりへの高齢者の参加
講演と座談そして懇親会を兼ねた地域福祉推進懇談会
座談はその先の動きにつながらないおしゃべり場
福祉委員活動の推進
各地区から40名の登録があるが活動の実態は把握していない
共同募金会から4団体・小中4校への助成と後期高齢者への歳末物品贈呈
これらの事業で自主財源は吐き出される
自主事業を企画しようにも財源がないから諦めが先に来る

基本計画2 住民一人ひとりが参加するボランティアの推進
高齢化と成り手不足はどこの地域も同じ課題を抱えて四苦八苦
ボランティアセンターの運営は建前論
行政は決まり文句のようにボランティアに期待する丸投げ論
登録ボランティアの弊害と新規登録は期待薄の悲観論
運営委員会とボランティア連絡協議会の二本立ての無理論
愛情銀行の名称が残りすでに馴染んでいて変更不要論

基本計画3 高齢者が安心して一生を送れる福祉サービス事業の推進
相談と生活資金の貸出
町からの受託事業の給食サービス事業は月曜から金曜まで1日12件余
在宅介護者の集いは対象家庭70世帯に対して参加者5名前後
安心して一生を送れる福祉サービスの提供はいかに壮大な計画か

重点推進目標も
推進のために関係機関との連携や
ノーマライゼーションの普及啓発を掲げ
文末は努める・図ると締めくくる
行動目標的な表現は避けられ無難に処理される
実行うんぬんよりも努め図ったことが優先される

これらの目標も数年は変わらず踏襲されてきた
毎年変更するにはこの体制では無理がある
だからこそ中期計画があれば拠り所がきっとできる
地域に密着した地域福祉実践は一般のマニュアル通りにはいかない
その指針となるプランは住民と共に作ってこそ福祉力となる

メールをいただいた
「事業1つ1つを自分自身でもかみ砕いて理解していないこと、視野が狭すぎていることに、改めて反省をしております。何故この事業をするのか、事業によって人を、地域をどのように支えていくのかというところが抜けてしまっていると感じました。自分なりに、事業毎に整理して、改善に向けていきたいと思います。とりあえずは、難しく考えず、頭の中を整理して進めたいと思います」

小さな地域の社協を悩ます現状維持の運営体質
応募してもなり手がいない慢性的な人材不足
この人も長年悩みながら事業をやり繰りしてきた
そこにいくつかの改善の提案やヒントを残してきた
まだまだ改革は先のことになる
どこから手を付けたらいいのか途方に暮れていた段階から
少し前向きになったことが嬉しい

地域福祉の推進に元気を出していただけるのなら
決してひとりぼっちにならぬよういつでも応援しよう
帰路の車中友と語り合いながら熱くなった自分がいた

〔2021年12月7日書き下ろし。社協マンだった友と語り合いながら、道内の小さな社協で頑張る人におもいを馳せた日となった〕