ようやく捨てる時が来た
ファイルに綴じられてきた古い資料
手に取られることもなくなった古い資料
利用価値からも開放された古い資料
いつか使うかもしれないという呪縛症
ないと困るかもしれないという心配症
取りあえず残しておこうという保管症
いつでも捨てられるという先送り症
煮え切らない態度が思慮を欠いていまがある
大事だという思い込みが度を超していまがある
集めた時の思いを忘れられずにいまがある
知的財産を捨てる事への罪悪感でいまがある
ボランティア運動に関する貴重な実践記録は廃棄した
段ボール5個に詰められた資料は輝く時を失った
いま研究資料も講義の教材も無用となった
数十年に渡る世相の変遷は関心事の蓄積だった
教育・福祉そして社会への尽きぬおもいの足跡だった
すでに自室の収容スペースは限界を超えた
机下にもびっしり積まれ足の置き場がない
いずれ大きな本箱1つを処分しなければならない
介護用ベッドを入れるスペースが必要となる
元気なうちにベッドの使用勝手に慣れる策略だ
ベッドの周りに何を配置するのかは構想中
好きな書籍で埋もれるのもいいと思案する
福祉の授業で子どもたちからもらった手紙と感想文
きっと老いの暮らしを慰めてくれるだろう
捨てがたい人生の宝物は千通をゆうに超える
処分は残った者に任せよう
優柔不断で今日まで置かれた古い資料
断捨離を決してどれから処分しようか
そこからすでに迷いが生じる
〔2021年12月13日書き下ろし。まずは段ボールの用意から始めようか〕