食と募金

国道36号線沿で50年も前から営業してきた
エビ天丼の美味い店が閉店するという
甘エビをふんだんにのっけた丼は空きっ腹を満たした
母によくおごってもらった店だった
天ぷらを上げた時に残った天かすは無料だった
その横に募金箱が置かれてあった
店主は年に数回社協を訪れて集まった浄財を渡した
ポケットマネーから出されたお札がいつも混じっていた
累計300万円を超えていると初めて聞かされた

登別温泉街の調理師が集う会がある
去年イベントをして3万円の益金が上がった
これをどこに寄付しようかと相談した結果
NPO法人ゆめみ~るが運営する子ども食堂に決めた
会は益金に7万円上乗せして贈った
調理師会とNPO法人とのつながりが生まれた
第六波のコロナ禍が道内各地に急激に拡大する中
着々と子どもたちへの食事会の計画は進む
調理師会が子どもたちにプロの味を披露する

ゆめみ~るは市内でも43%と高齢化率の最も高い地域のある
ゆめみ~るは食で地域支援しようと15年前に有志で立ち上げた
元コンビニをコミュニティ食堂に改装して始まった
多くのボランティアが参加して出来ることから活動を広げていった
校区に放課後学童保育がなかった時分には場所と人を提供した
その活動が功を奏してようやく校区内に設置された
食堂に来られない高齢者のために配食サービスも始めた
子ども食堂で子どもたちに何か美味しいものを食べさせてと
配食に伺ったボランティアが高齢者から1万円を手渡された

登別を観光だけじゃなくて福祉のまちにしたい
強く願ってきた熱いおもいは一人ひとりの心に届く
食を通して福祉への参加の機会をつくってきた老店主
料理のプロとして子どもらに技と心意気を伝える調理師
慎ましい暮らしの中から子どもへのまなざしを向ける高齢者

登別社協が市民と協働して実践してきたきずな計画
17年の時を経てだれもが参加する福祉文化を育んできた
ひとりの小さな幸せを希望に紡ぐきずなでまちづくり
「ど真ん中に子どもの笑顔が見える」が福祉でまちづくりの原動力
市民の浄財と心ある行動が子どもの未来を約束する

〔2022年1月19日書き下ろし。子どもに真正面から向き合える人でありたい。それが福祉と教育に生きるということではないか〕