「希求」の発刊は生涯の想い出

法人五十年を記念し出版した『希求』が納品された
包まれた紙を破き真新しい本を手にした

ジャケット中野章氏の版画「夏の丘」が飛び込んでくる
紺碧の空が限りなくBlueに広がり
白い雲が湧く遠方の防風林を背景に
収穫を迎えた黄色の小麦畑と
手前に青々とした畑が広がる
雄大で豊饒な北の大地の夏がひときわ美しい
空には白抜きされた「希求」の二文字が映える

ジャケットをとりハードカバーを見る
角背製本された赤地の布の上製本
師の自筆の書を表紙に「希求」裏表紙に「和顔愛語」と
筆跡をそのまま凹ませて刻まれていた

予想以上のお洒落で品のある装丁に心が奪われた
予想以上の本の重さに手応えを感じた
予想以上の感慨と感動が心を走った

600ページ近い本は
師の五十年の福祉に生きた人生の軌跡と感謝
今春経営を譲る若い世代への願いと期待
師の人間性が溢れた一冊は
「希求」におもいのすべてを託した
福祉の道を求めてやまない次代への継承本

帰宅後編集に関わった感謝をメールで伝えた
すぐに返信があった
このように素晴らしい本を発刊できたことは
生涯一番の想い出だと
達成感と充実感に心に満たされていた
喜びは感謝以外言葉にならない
そう綴られていた

〔2022年2月5日書き下ろし。昨日納品された。「希求」と題して、多くの福祉人への師のメッセージでもある〕