帰郷

秋田から少女はやってきた
障がい児教育を学びたい
胸を膨らませて大学に通った

二年目になると環境は急変した
コロナ収束の期待も次々と破られていった
夢も押しつぶされていく

大学生活は忍耐と無念を強いられた
授業もサークル活動も自粛させられた
憧れの札幌の街も疎ましかった

昨夏道の教員採用試験があった
合格通知が来たが秋田は落ちた
ただ北海道に残ることに不安を感じた

教師になるための勉強も経験も足りない
故郷で先生になりたいという思いが募った
秋田に戻って再トライすることを決めた

全国では教員不足だが秋田の採用試験は厳しい
少子化が進み学校は統廃合が日常となっていた
大量の退職者問題もこうして緩和されていく

故郷で臨時採用の登録をして待つ日が始まる
今夏の採用試験に向けての準備も始まる
是非教員になってほしい魅力ある人材だ

少女は大人となった
教師になる夢はあきらめない
実現への道を再び歩き始める 

20日苫小牧港から帰郷の途につくkikyou

〔2022年2月17日書き下ろし。最後までコロナに邪魔された。北海道での経験を教育に生かすことのできる子だ。先生になってほしい〕