〇僕は日頃、リハビリや生活介護の合間に講師活動や資産運用をしています。そんななかで、「障がい者などももっと投資をしたらいいのに」と思うことが時々あります。
〇そう思う一番の理由は、納税です。社会的弱者は納税の義務を免除されますが、投資をすれば所得税と地方税は徴収されます。
岸田総理は今年の参議院予算委員会で、物価高騰に対する予算案(2兆7000億円)の財源を野党に追究されるなかで、税率を上げるのではなく経済の成長を促すことにより財源を賄えるというような趣旨を述べていました。国民に投資を促せば税収増加につながるとの考えでしょうか。今年から、高校で金融教育が始まったのもそのためじゃないでしょうか。
障害のある方もこの考えに賛同して、目に見える形で社会に貢献できるというメリットは大きいと思います。通常、福祉のサービスを使うだけの存在と思われがちな障がい者も、目に見えて貢献できるという訳です。障害がある・ないにかかわらず、陰では社会貢献していてもそのことが周囲に伝わらず、時にはバッシングされるのは空しいことです。
〇二つ目の理由に、スマホもしくはパソコンが使えれば場所を選ばないということです。取引事態は市場が開いている平日の日中でなければ無理ですが、注文を出したり情報を分析したりするのはそれ以外の時間帯でもできます。つまり、寝たきりの方や病院通いの方、ひきこもりの方や外出が困難な方にも有効ではないかと思います。
〇収入は二種類に分けることができます。労働収入と金融収入です。労働収入とは、文字通り労働をして給料をもらうことです。一方金融収入とは、お金を使ってお金を増やすことで、銀行の預金や年金、そして投資もこれにあたります。
僕は18歳で入院して20歳で退院しましたが、重度の身体障がい者となっていて、定時に出社などの理由から労働収入を得ることは無理に近いと思っていました。それで投資を始めるに至ったのですが、投資とはまとまった資金でもない限り何の経験もない若造がいきなり始めて利益を上げられるものではありません。ですが障がい者には障害基礎年金という、言わばベーシックインカムのようなものがあります。これが三つ目の理由です。
〇僕は、最初の頃は安定した収益があげられず、儲かるときもあれば損をするときもあるといった具合で、結構苦労しました。でも時間が経過して経験を積み重ねた今では、少ないですがささやかな資産を築いています。
〇この15年以上の経験で学んだことはいろいろあります。一番大事な考えは、リスクは排除すべきものではなく必要経費であるという考え方です。リターンを得たければ、リスクは(大なり小なり)とらなければなりません。リスクとリターンは比例します。ローリスク・ローリターンか、ハイリスク・ハイリターンか。ローリスク・ハイリターンなんて商品はありません。あるとすれば、それはギャンブルか詐欺の類いでしょう。
そして、リスクを必要経費と捉えるには、リスク管理(リスクマネジメント)が必要です。リスク管理とはリスクを自分で引き受けコントロールすることですが、なにもすべてのリスクを自分で引き受けることではありません。そもそもリスクとは、「将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性」(Wikipediaより)といった意味です。この商品には、どういったリスクがあるか把握し自分ならどれだけのリスクまで許容することができるのか(どこまでのリスクをとれるのか)を把握することです。
〇投資をする上での心構えとして僕は、次のように考えています。
・投資は余力資金(なくなってもいいようなお金)ですること。投資の目的は、生活をより豊かにするためであって、生活そのものの目的にはしない方が良い。生活が掛かっている投資だと、プレッシャーに負けてしまいます。
・分散投資を心掛けること。例えば災害などである国の通貨や株が暴落したとします。もしもその国に資産が集中していたら、すべてを失うことになります。リスクは分散させることが大切です。とはいえ、
・少ない元手を増やしたければ、資金を集中されることも必要であること。投資とは確率論の勝負とも言えるので、勝てる確率が高い局面を見極めてそこに資金を集中させることも時には必要かと思います。そして、
・早くから始めること。投資での利益は元手の量にも比例します。同じく、経験値にも比例します。つまり、早くから始めたほうが有利です。
〇僕たちも、障害がある・ないにかかわらず、投資で人生をより豊かにしてみませんか?