阪野 貢/欽ちゃんの「運の神様に好かれる5大ポイント」―萩本欽一著『ダメなときほど運はたまる』等のワンポイントメモ―

計画的偶発性理論の骨子は、① 人生やキャリアは、(その8割が)想定外の出来事や「偶然の出来事」(happenstance)によって影響を受ける。② 偶然の出来事に対して積極的に行動・努力することによって、キャリアを発展させることができる。③ 偶然の出来事をただ待つだけでなく、それを引き寄せる・創り出すために積極的に行動し、変化する状況に注意を向けることによってチャンスが生まれる。また、チャンスが来たときにそれを掴(つか)める準備をしておくことによってキャリア形成を図ることができる、というものである。(<雑感>(182)阪野貢)

〇本稿は、<雑感>(182)追補/「キャリア」再考:計画的偶発性理論をめぐって―J.D.クランボルツ・A. S.レヴィン著『その幸運は偶然ではないんです!』のワンポイントメモ―/2023年7月25日投稿、の追補である。
〇筆者(阪野)の手もとに、萩本欽一(「コント55号」「視聴率100%男」の欽ちゃん)の本が3冊ある。『ダメなときほど運はたまる―だれでも「運のいい人」になれる50のヒント』(廣済堂新書、2011年1月。以下[1])、『負けるが勝ち、勝ち、勝ち!―「運のいい人」になる絶対法則』(廣済堂新書、2012年10月。以下[2])、『続 ダメなときほど運はたまる』(廣済堂新書、2015年2月。以下[3])がそれである。そこで欽ちゃんは、「運のいい人になる」ための人生訓や「運をつかむ生き方」を説く。その際、欽ちゃんにあっては「運の神様」は実在し(「僕には専属の運の神様がいるんです」[2]47ページ)、「運」はコントロールすることができるのである。またその3冊から、一面あるいは一部において、キャリア理論のひとつである「計画的偶発性理論」(Planned Happenstance Theory)に関する素材やヒントを見出すこともできようか。
〇欽ちゃんはいう。「目の前には3つの運がある」(3ページ)。「生まれながらの運」と「だれかが持ってきてくれる運」、そして「努力した人の元へやってくる運」である。「生まれながらの運」を持っているのは、つらい環境や子育てに向かない親の元に生まれてきた人などで、こういう人は自分の境遇を恨まず、ごく普通の生活を送っているだけで必ず幸運がやってくる。「だれかが持ってきてくれる運」は、人から好かれている人、いやなことをじっと我慢している人、人間関係に悩んでいる人、いじめられている人などにくる。しかも、人を見る目が育つという“おまけ”もついてくる。「努力した人の元へやってくる運」については、「努力は人を裏切らない」という言葉があるが通りである([1]3~8ページ)。
〇そして、欽ちゃんは、「これまでの人生を振り返って見ると、80%以上は『運』で生きてきたような気がします」([2]174ページ)という。その「運を呼び寄せる」ために大事なことを、次の5つに要約する(「運の神様に好かれる5大ポイント」)。

① 運は自分で貯金する――だれもが運の預金通帳を持っており、その人の生活に応じて増えたり減ったりしている。
② 向いていない場所に運がある――運は好きなことのなかにではなく、苦手なこと、向いていないことのなかに落ちている。
③ 運は言葉と行動に左右される――運も不運も自分の周りに漂っているが、そのなかからいい運を引き寄せるには、いい言葉やいい行動が必要になる。
④ 運と不運はトータル50%ずつ――人生の最期の日にトータルすると、運と不運は半分半分になり、つまり運から見ると人生はチャラ(プラマイゼロ)である。
⑤ つらい境遇は「運のせい」にする――つらい境遇にいる人には、いつか絶対いい運がやってくるので、「今、このとき」の不運について深刻に考えすぎないようにしたほうがいい。([3]181~188ページ)

〇ここで、[3]から、恣意的であることを承知のうえで、運を引き寄せる(「運のいい人」になる)法則やヒント、態度や行動のいくつかを引いておく。

●  運の神様に好かれるコツは、人間関係で言えば、「威張らない」「気をつかう」「親切にする」、たったこれぐらい。(19ページ)
●  運のいい人になるためには、運を引き寄せるための行動や言葉をいつも考えて、用意しておいたほうがいい。(43ページ)
●  運の神様は「運」を人に託して運びます。あなたも周りの人もすべて、「運」をもたらすメッセンジャーです。(70ページ)
●  性格のよさや誠実さって、周りの人間に「放っておけないな」と思わせて、運を呼び寄せるんです。(157ページ)
●  そのときの損、得じゃなくて、自分の目の前にやってきたことを精いっぱいこなしていく人に、運は近づいてくるんです。(168ページ)
●  運の神様は、才能や頭脳のありなしじゃなく、努力の足跡を見てくれています。(178ページ)

〇ここ数本(「夢」「キャリア」等)、T氏に対する念(おも)いから、意図的に本筋のテーマからそれたような記事を投稿してきた(本質的にはそれていないと認識している)。ここらで、閑話休題(かんわきゅうだい)としたい。

あなたが夢を追求する道中では、よく目を開き耳をすませておくことをお勧めします。チャンスがやってきたときにそれをつかむ準備ができていれば、想定外の出来事があなたをさらによい結果へと導く可能性があります。(<雑感>(182)阪野貢)