主権者教育・シティズンシップ教育・政治リテラシー教育
主権者教育・シティズンシップ教育・政治リテラシー教育
主権者教育とシティズンシップ教育(新藤宗幸、バーナード・クリック)
〇主権者教育は、現実の政治の実態を棚にあげ、単に新有権者に政治的な教養を育む教育を説くのではない。主権者教育は、政治権力に従順な人間を育てることではない。
〇主権者教育は、現実の政治が生み出している社会的問題事象の中身を学習することであり、また政治権力の行動の意味を洞察する能力を高めることである。
〇日本における主権者教育のモデルのひとつは、イギリスのシティズンシップ教育である(1998年9月:「クリック・レポート」)。
〇クリック・レポートでは、シティズンシップを構成する要素として、「社会的・道徳的責任」「コミュニティへの関与」「政治的リテラシー」の3つが挙げられている。これらは相互に関連性を有し、依存関係にある。
〇シティズンシップ教育は、ボランティア活動の促進に偏りがちであるが、「能動的な市民」の育成こそがその中心に位置づけられるべきである。そのためには、政治的リテラシー(政治的判断力や批判力)を中核的な内容とするシティズンシップ教育が肝要となる。
政治リテラシーと主権者教育と市民性教育(関口正司、石田雅樹)
〇政治リテラシーとは、政治に関する基本的な知識、政治に関与する際に求められる基本的な技能、そしてその知識や技能を積極的に用いる意欲や態度、それらの総体を意味する。すなわち、政治の営みに関する知識・技能・態度の複合体をいう。
〇主権者教育(政治リテラシー教育)は、主権者としての、「社会参加」の促進と「政治的リテラシー」の育成を図るための教育をいう。
〇主権者とは、主権(国を統治する権力)を実現する主体、主権的決定ができる主体であり、主権者(国民)には国のあり方について絶対的かつ最終的に判断することが求められる。
〇市民性教育は、デモクラシーを絶えずリニューアルし深化させる市民の育成を図るための教育をいう。
(参照)
阪野 貢/「主権者教育」「シティズンシップ教育」の一環としての「市民福祉教育」を考えるために―新藤宗幸著『「主権者教育」を問う』再読メモ―/<雑感>(151)/2022年4月16日/本文
阪野 貢/「政治リテラシー」考:啓蒙主義的主権者教育と保守主義的主権者教育、市民性教育と国民性教育―関口正司編『政治リテラシーを考える』のワンポイントメモ―/<雑感>(209)/2024年7月1日/本文
阪野 貢/追補/憲法上の国民:主権者・有権者・市民について考える―駒村圭吾著『主権者を疑う』のワンポイントメモ―/<雑感>(187)/2023年9月16日/本文




