宮城葉子「肝愛(チムガナ)さぬ」(ウチナーグチ)

肝(チム)ぬままならん 泣ちがーたー
泣顔(ナチガウ)ぬ にじら らん
泣(ナ)ち声(グィー)ーぬ出(ン)じたる
くぬ はっとぅま
顔(カウ) わじゃまち
涙(ナダ)落(ウ)とぅちゃる 顔(カウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

目(ミ)ーまってん 目(ミ)ーぐゎーとぅ
みぃーくぅーめぇー
みぃーちきてぃ 顔(チラ)ぐゎー見(ン)ーちょうてぃ
くぬ はっとぅま
ニコッんでぃち まさかぬ
見(ミ)ーぐゎー笑(ワレェ)ー返(ゲェ)ーし
肝愛(チムガナ)さぬ

くぅーわっ! んでぃち さくとぅ
ちゃーすがやーんでぃち思(ウム)やがなー
ようーんなー たーちぬ手(ティー)
伸(ヌ)ばち 身体(ドゥー) あじきたる 
くぬ はっとぅま
やふぁってん ぐゎーとぅ
かばさ だちゅる顔(カウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

サジ 自分(ドゥー)し 持(ム)っちゃくとぅ
がーはてぃ くちぬまんまーるや
いっぺー 散(チ)らかちゃる
くぬ はっとぅま
しーやんてぃ 目(ミ)ー笑(ワレェ)ー顔(ガウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

くぅとぅばにならん 声(クィ)ー出(ン)じゃち
指(イービ)さする とぅくるんかい
目(ミ)ー向(ン)けぇーらしみてぃ
くりやんでぃ 思(ウ)まーりーる イーリムン
取(トゥ)らちゃる くぬはっま
ンパーンパーんでぃち
頭(チブル)ふる 肝(チム)ふがん顔(ガウ)
肝愛(チムガナ)さぬ

まる裸(ハラカ) 風呂(ユフル)桶(ウゥーキ)んじ
湯(ユー)とぅ がんまり遊(アシ)びし
痛(ヤマ)ちゃる 
くぬ はっとぅま
肝愛(チムガナ)さぬ

肝(チム)がなさぬ 肝(チム)がなさぬ
どぅく どぅく 肝(チム)がなさぬ
抱(だ)ちくだる
命(イヌチ)ぬ 温(ヌク)むい

肝(チム)がなさぬ 肝(チム)がなさぬ
いっぺー いっぺー ニフェードォー
抱(だ)ち込(ク)みたる 二人(タイ)ぬ母子(ファファクッ)ぬ
志情(シナサキ)ぬ深(フカ)さ 肝愛(チムガナ)さぬ
命(ヌチ)ぬあるかじり
いちまでぃん 共(トゥム)に 歩(アユ)まな

〔2021年4月24日。今日、沖縄市在住の友人木下義宣氏の紹介で、童唄研究家の宮城葉子先生のウチナーグチ(沖縄語)での『めんこいしょ』の訳詩をいただいた。過去に「方言札」という「日本語の標準語激励の強硬手段としての罰札」により、貴重な言葉と文化を失った歴史があることを知った。先生は幼児教育の指導者教育に長年携わりながら、うるま市田場の古民家「沖縄のわらべ唄 民謡の里・田場ぬてぃーだぬ家-」を拠点に、現在も文化継承活動をされておられる。先生の訳されたウチナーグチから流れる詩情豊かな言葉のあたたかさを、いまだからこそ静かに味わっていただきたい〕